FXで値ごろ感という言葉を聞いたことがあると思います。
下がり過ぎだから買いたい、上がり過ぎだから売りたい。価格を見た自分の感情、感覚で、今の価格が高いのか安いのかを判断してしまって安易な考えでトレードしてしまうのが値ごろ感(値頃感)トレードです。
こういった、そろそろ上がるだろうとか、そろそろ下がるだろうという値ごろ感でのトレードは危険で、私自身何度も大失敗しています。
なぜ値ごろ感でのトレードをしてはダメなのか、値ごろ感でトレードすると大損する可能性が高いのはなぜなのかについて詳しく見ていきます。
目次
FXで値ごろ感を持ってしまう理由とは?
例えば昨日、ドル円が112円前後でした。上昇トレンドに見えるので押し目を待って買いたいと思っていましたが、なかなか大きな値動きにはつながらず、良い押し目もなかったので買えずにノートレードでした。
今日、トレードしようとチャートを開いたら、ドル円が105円まで下がっています。昨日から見れば7円も下がっています。これはいくらなんでも下げ過ぎだろうと考えてすぐに買いポジションを持ちました。
昨日から見れば7円も安く買えてよかった・・・
上記は大袈裟な例ですが、これが値ごろ感トレードです。
112円前後で買いのエントリーチャンスを待っていたのが、105円まで下がれば7円の価格差ですから、かなりお買い得に見えます。
これが値ごろ感の罠でもあります。
実際には110円の大きなサポートが割れて、108円のサポートが割れて105円まで一気に大きく下がったことで、大きな足でも下降トレンドに変わっていたのです。
105円で買ったポジションは100円割れまで耐えましたが、99円で強制ロスカットになってしまいました。
FX超初心者は値ごろ感を持たない?
FX超初心者の方や、たまにしかチャートを開かない方は、値ごろ感を持ちにくい傾向があります。
値ごろ感とは、そもそも前に見た価格と比べてしまうことから起こってくる感情です。
そのため、チャートをあまり見ない人だと、今見た価格が新鮮で過去の価格と比べる対象がないので値ごろ感が出てきにくくなります
また、FX超初心者の方だと、長期目線で見て今の価格が高いのか安いのかもわからないし、安いから買う、高いから売るという考え方が元々ないために値ごろ感が発生しにくくなっています。
私の会員の方で60代の女性の方がいたのですが、リアルトレードはしたことがないというくらいの超FX初心者の方でした。
その方には値ごろ感が全くありませんでした。
どんなに上げている相場でも買われ過ぎみたいな感情がないのでルール合致なら買っていく。どんなに下げている相場でもルール合致なら売っていく。値ごろ感がまったくないために、どんな相場状況でもトレードルールに素直に売買できました。
結果は、すぐに安定して勝てるようになって卒業になりました。
余計な感情がトレードに影響を与えないので、トレード手法の優位性がそのまま収支に反映されてプラス収支が継続できていたのです。
その会員の方は今でもプラス継続ができていて時々メールをくれますし、沖縄名物なんかも送ってくれるトレード仲間になっています。
今の価格が高いか安いかは見る人によって違う?
スキャルピングとデイトレの中間的な手法を使っている私の場合、1円上がっていれば高すぎるという感情が出てきます。
しかし、スイングトレーダーの方だと、1円くらいは誤差の範囲みたいな感じで気にしない方も多いようです。
そう、高い、安いという感じ方は人によっても違うし、使っている手法によっても変わってくるんですね!
例えばFX初心者は、昨日の値と比べて2円も下がったのだから、何の根拠もなしに、そろそろ上がるだろうと考えます。
勝っているトレーダーは、昨日より2円下がったのだから、テクニカル的に見ても更に下落は続くだろうと考えます。
初心者の方は値ごろ感から逆張りの買いポジションを作って大損。勝っているトレーダーはルールに従って安値を売っていって大勝。
人によって感じ方が違う値ごろ感は、チャートの値動きには無関係なので一切不要ということになります。
価格は常に適正、あなたの値ごろ感は無関係
チャートはすべてを織り込んで動いているので、今の値段が適正価格という考え方があります。
普通に販売されている商品には適正価格というものが存在していますが、FXでは通貨の売買になるために適正価格というものは存在しません。そのため、今の値段が適正価格という考え方です。
適正価格がないものに対して、今は安いとか高いとか考えること自体ナンセンスです。値ごろ感を持ってしまうこと自体が間違いなんですね。
今の値段が適正価格なら、少し前の価格のことはきれいさっぱり忘れてしまい、今の値段を基準にしてトレードしていくことが正解になります。
値ごろ感で勝つこともある!これが大失敗の元!
5分足で勢い良く下落してきたポンド円、そろそろ下げ止まるんじゃないかなと買いポジションを作りました。予想通り下げ止まってスルスル上昇して大きく利確できました。
たまにある話です。
これ、実は下げ止まったポイントが1時間足でのサポートだっただけかもしれません。
この、たまに勝ってしまうことが値ごろ感を助長させてしまう可能性もあります。値ごろ感で勝った経験は脳に刷り込まれていきます。そして、また同じ状況になると値ごろ感発動です。
たまにはうまくいくことがありますが、ほとんどは失敗してしまう可能性の方が高いのが値ごろ感トレードです。
値ごろ感トレードで時々勝って一時的に金銭的にプラスになれたとしても、長いトレード人生ではマイナス要素の方が大きくなります。
値ごろ感を持たない方が絶対に勝ち組に近づけます!
私も値ごろ感で大失敗を繰り返してしまった!
こんな私も昔は値ごろ感で大失敗を繰り返しています。値ごろ感という括りでは1種類なのですが、感情的には2種類の値ごろ感があります。その両方ともに経験して、取れる利益を取り逃し、安易な逆張りで大失敗・・・
ポジションが作れない大失敗!
トレードルールが決まっていたとしても、上がり過ぎだなと思ったとたんに急に反転するんじゃないかという感情から買うのが怖くなるものです。売りも一緒で下がり過ぎだと思ってしまえば反転が怖くて売れなくなってしまいます。
私は一時期、常にコレに悩まされました。
綺麗な上昇トレンドで上昇していくポンド円、何回か利確して収支はプラスになっています。そんな時にマイルール合致で買いのエントリーチャンスが来ました。
ここで考えてしまいます。
「ここまで上がっているから、そろそろ上げ止まって下げるんじゃないかな?」
この感情が出てきてしまえば、値ごろ感から買うことはできません。逆に逆張りで売ってしまいたくなってしまうかもしれません。
結局は見送ったポイントで素直にルール合致だと買っていれば大きな利益になっていたなんてことが数えきれないくらいあります。もちろん、逆のパターンで売れずに失敗も数えきれないくらい体験しています。
値ごろ感から逆張りしてしまう大失敗!
これはFXを始めたばかりの頃に嫌というほど体験した値ごろ感で逆張りしてしまう失敗です。
特に重要指標発表後などで大きく動いた後が多かった気もします。
いつだったか忘れましたが、米雇用統計が強い結果で大きく跳ね上がったドル円。連れてポンド円も一気に2円以上も上昇しました。その後は高値もみ合いが続いていて上げ止まったように見えました。
「朝から3円以上も上昇しているし、高値もみ合いは下げるサインだ!」
こんな値ごろ感からポンド円を売ってしまいます。
すると、ドル円は高値張り付きで動かないのに、ポンドドルが安値から急に反発してきて、連れてポンド円も一段高に・・・
私が売ったポイントから更に1円以上も値を上げてしまいました。
こうなると、またまた値ごろ感から、「ここまで上がれば下がるでしょ?」みたいな感情が強くなってきて損切りしません。証拠金も十分に余裕があるし逆指値は入れずに寝てしまいます。
起きた土曜朝、なんとポンド円はさらに2円ほど値を上げていて、私の含み損は約3円・・・
ロット数は30万通貨でしたから、約90万円の含み損・・・
ここまできても、「上がり過ぎだから下げるはず・・・」こんな考えは消えませんでした。
翌月曜のオープン、ポンド円は1円ほどの上窓をあけてスタート。私の含み損は120万円を超えています。
証拠金残高がヤバくなってきて、資金を移動させるために銀行まで車を走らせた記憶があります。
さて、このポジション、最終的にはどうなったのか??
実は、1週間くらい塩漬けにして最大の含み損が180万円ほど、その後にポンド特有の大暴落が来てくれて建値に戻ってくれて幸せに建値でゼロ決済できました。
この時は本当にうれしかった記憶があります。
でも、決済後に更にそこから5円ほど下落して悔しい思いをしたのは内緒です。。。
通常はエントリーに悪影響を与えるのが値ごろ感ですが、こんな感じで損切りにも大きく影響する可能性もあります。
値ごろ感は100%不要!絶対に持たないこと!
かなり前の話になりますが、2015年までアベノミクス相場もありドル円は125円後半まで上げました。2016年に入って徐々に値を下げてきましたが、「115円は割らないだろう」という値ごろ感からの意見が多く飛び交いました。
しかし、2月には115円を割れて下落。
次は110円は割れないだろうという値ごろ感からの意見が多数。それでも4月には110円をあっさり割り込みます。
さすがに100円では下げ止まるだろうという話が多数聞かれてきたころに、EU離脱問題からの英国民投票であっさり100円割れ。
これらも大きな意味での値頃感だと思います。
FX初心者の方の中には110円台、120円台での買いを塩漬けにして持っていた方も多くいて、大きな下落で強制ロスカットされた方も多いと聞きました。
いつかは戻るのが相場だったとしても塩漬け期間が長ければその分だけ機会損失は大きくなっていきます。
値ごろ感は持たずにチャートの動きに素直に従うこと、自分のトレードルールを守って値ごろ感に左右されない強い心もFXでは大切ですね。
FXで値ごろ感(値頃感)トレードは危険!私の体験談も公開! まとめ
自分の感情、感覚で、今の値段が高いのか安いのかを判断してしまう値ごろ感、百害あって一利なしです。長い目で見れば確実にあなたの利益を奪い損失を大きくしていくはずです。
しかし、どんどん下落していくチャートを見れば、どうしてもそろそろ下げ止まりそうと思ってしまうものですし、この感情を持たないようにすることはなかなかできません。
それでも、値ごろ感が出てきてしまったとしても、その値ごろ感を元にトレードしなければ何の問題もありません。
下げ止まりそうだと思ってもルール合致でエントリーチャンスなら売る。上げ止まりそうだと思ってもルール合致でエントリーチャンスなら買ってみる。自分のトレードルールに素直に従うことが値ごろ感トレードを防ぐことにもなるのです。
値ごろ感とうまく付き合うこともFXで勝ち続けるには必要なことです。