地政学的リスクとは、世界の国々の中のある特定の地域が抱える政治的、軍事的な問題などにより、その地域の経済や世界経済全体に悪影響を与えるリスクのことです。
2022年2月で言えばウクライナ情勢が地政学的リスクになっています。
FX歴が長い人であれば、過去に何度も様々な地政学的リスクを経験されていると思いますが、FX初心者の方だと急に大きな値動きになれば驚いてしまうことになります。
地政学リスク発生時には、為替チャートは特徴的な値動きをすることが多くなりますから、どんな値動きになりやすいのか覚えておいてリスク管理していきましょう。
目次
FXの地政学的リスクとは?
地政学とは、地理学と政治学を合成したものを指します。
一般的にFXで地政学的リスクと言えば、テロや戦争、巨大企業の財政破綻などから生じるリスクを指すことが多くなります。
そのため、地政学的リスク発生時の反応はリスク資産売り、安全資産買いが基本です。
例えば、紛争やテロによって石油関連価格が値上がりして大手企業の業績が悪化したりすることにより、世界経済が停滞することが懸念され株売りや金利低下を招きます。
そして、特定の地域から派生する地政学的リスクの場合は、リスク回避的行動から関連する多くの通貨が売られ、安全資産と言われている米ドルと円が買われることになります。
FXをする人から見ると何が起こるかわからない不確実性が増すことになるので、恐怖指数も上昇しリスク回避的(リスクオフ)なチャート形になることが多くなります。
そのため、ドル買いからユーロドルが売られて円買いからドル円が下がるとユーロ円は大きく下落することになります。
ドル買いからポンドドルが売られて、円買いからドル円が下がるとポンド円は大きく下落することになります。
また、地政学的リスクが発生すると、安全資産の代表でもあるゴールドが大きく買われることが多いのも特徴です。
地政学的リスクの代表的なものは?
地政学的リスクの代表的なものは2001年9月11日のアメリカ同時多発テロではないでしょうか?この時の私はFXをまだ知らなかったのでチャートの値動きなどはわからないのですが、過去チャートを見ると大きく乱高下したことがよくわかります。
あとは2011年3月11日の東日本大震災の時も地政学的リスクと言っていいと思います。この日の地震発生時間、私の田舎ではまだ雪が多くてチャートを表示させたまま外で雪かきをしていました。
大きな揺れで驚いて会社の中に戻ってみれば水槽から熱帯魚が飛び出て様々なものが倒れていました。その後の余震でも何度も揺れが続いて本当に恐怖でした。
その時チャートは動いていたのですが、スプレッドは大きく広がりリスク回避的なチャート形だったのを覚えています。
その前のリーマンショックはリーマンブラザーズの破綻が原因だったのですが、多くの有識者は地政学的リスクと言っています。リーマンショックは2008年9月15日から始まったといわれていますが、ご存じのように驚くほどのリスクオフ相場になり長期間為替に影響を与え続けました。
最近だと欧米との関係悪化でリラが大きく売られました。これも地政学的リスクと言えると思いますが、リラ自体の取引量が少ないために、ほかの通貨に与える影響が小さく世界的な大問題までは発展していません。
ただ、高金利通貨のリラはスワップ狙いで買い持ちしていた人も驚くほど多かったために、一部のトレーダーには大損害を与えることになりました。
私がリラ円をチェックし始めた2015年当時は40円を超えていましたが、2021年の最安値は6円割れ寸前ですからビックリです。
あとは少し前で言うと、北朝鮮がミサイル発射するたびに急激なリスクオフになりチャートは大きく下落を繰り返しました。これも地政学的リスクです。最近は慣れてしまったのか、北朝鮮がミサイル発射したというニュースが流れても為替にはほとんど影響しなくなっています。
最近再度話題になっている2022年ウクライナ問題も地政学的リスクです。
ウクライナ情勢の緊迫化や欧米諸国とロシアとの関係悪化懸念などが地政学リスクになったことでリスク回避の動きが強まりました。
ウクライナ情勢をめぐる地政学リスクはいったん収まったかに見えてリスクオフからリスクオンになりかけましたが再度リスクオフになっています。
こういった地政学的リスクは、いつ起こるか、いつ表面化するか誰も予想もできませんし、なにが引き金になるかもわかりません。
なんの前触れもなく急に起こることの方が多いのが地政学的リスクなのですから、そのリスクに対応できるように事前に資金管理しておくことが大切になります。
地政学的リスクは長く続かない?
地政学的リスクが発生してリスクオフ的な相場になったとしても、その地政学的リスクが落ち着いて(解消して)しまえば、為替は元の値に戻ってしまう可能性が高くなります。
もちろん、地政学的リスクが発生したことで、別の要因が新たに為替変動要因に加わることもあり、リスクが長引いたり元に戻らないこともありますが、過去の例から見れば地政学的リスクは長く続かないことの方が多くなっています。
また、地政学的リスクが消滅するまでのスパンは、ショック度合いによって変わることになるので、数日なのか数ヶ月なのか数年なのかはわからないことになりますが、時代が進むにつれてリスクから回復する期間は短くなってきているように感じます。
地政学的リスク発生時のトレード方法は?
地政学的リスクが発生したら相場は確実に不安定になります。突発的な乱高下が発生したりトレンド発生に見えたチャートが急反転したり・・・。
そのため、通常のトレードよりもリスクが大きくなるため、地政学的リスク発生時は基本的に様子見を決め込んでトレードしないのが一番いい選択です。
しかし、勝負をかけるといったら違うかもしれませんが、リスクを取って果敢に攻めて大きな利益を狙うトレードをすることもできるのが地政学的リスク発生時です。
それは、思った以上に大きな値動きでボラティリティが上昇し、強い下降トレンドになる場合が多いためです。
そして、地政学的リスクが落ち着けば急激なリスクオン相場になることも多いので、上昇トレンドでも大きな利益を出すことが可能になる場合もあります。
もし、リスクを受け入れてトレードをするとしたら、以下のような対応がお勧めです。
最初にチャートを開いたら、今の状況がどんな状況なのか確認します。その時、地政学的リスクに関するニュース、要人発言、今後の情報公開予定などもしっかりチェックしてください。
次にトレードする通貨ペアを選択します。
人によってはドル円しかトレードしないとか、ポンド円専門という方もいますが、地政学的リスク発生時のトレードでは通貨ペアの選択も重要です。
地政学的リスク時にはリスクオフになりやすいのですから、大きな目線で下降トレンドの通貨ペアを選択することでトレードの勝率もアップします。
上昇トレンドの通貨ペアを選択してしまうと、リスクオフ系の値動きで下がった安値を買いで狙っている大口投資家も多いため、ある程度下がると急反発してしまうことも多くなるためです。
元々下降トレンドの通貨ペアであれば、下にある節目を次々に突破していくことも珍しくないですし、戻りもしっかり売っていけることになります。
ただ、今現在のチャートに大陽線や大陰線が多かったり、下落と反転を繰り返していたり、狭いレンジからの急落急騰や乱高下が多々あったり、スプレッドが正常化していなかったりする場合には、リスクが大きすぎるのでノートレードで様子見が無難です。
チャートを開いたときに既に強い下落トレンドが発生していたらチャンスです。
2022年2月24日のポンドドル5分足チャート(矢印はMMASPサイン)
こんな感じで強い下落トレンド発生が確認できたら、押し目で何度もエントリーチャンスが発生します。
1分足や5分足でトレードされている場合には、利確後に押し目での再エントリーを繰り返して利益を積み重ねていくことができます。
上記5分足チャートだと日本時間11時に最初のエントリーサインが発生し、以降23時40分まで11回の売りサインが発生しています。
また、こういった強い下降トレンド発生時には、基準を持った利益を伸ばすトレードをしてもいいでしょう。このチャートで見れば最初のエントリーから深夜までで最大260pipsほどの下落幅になっています。
大きな時間足でのデイトレードやスイングトレードを実践されている方も大チャンスになりますから、最大限に利益を伸ばすトレードをしていきましょう。
ただし、地政学的リスクでのトレンドは必ずいつか終わります。何か月も続くときもあれば数日で終わる場合もあります。そして、1日単位で見ても大きな戻りを伴う場合も出てきます。
上記チャートで言えば深夜25時から大きく反発しています。
そのため、欲張りすぎて利益を大きく減らしてしまっては元も子もなくなりますから、満足いくところで利益を確定してしまって、以降は追いかけないで様子見に徹し、獲得した利益を守っても良いと思います。
強い下降トレンドだったとしても、ちょっとしたポジティブニュースで急反転されてしまうこともあるのが地政学的リスク相場の特徴だからです。
こういった地政学的リスクがある相場では、リスクが通常よりも大きくなる可能性があることを自覚し、資金管理を徹底してトレードしていくことが大切です。
FXの地政学的リスク!リスクオフ相場の値動きとトレード方法 まとめ
FXの地政学的リスクとは地理学と政治学を合成したリスクのことです。
テロや戦争、巨大企業の財政破綻などから生じるリスクが高まるわけですから、為替市場は混乱し大陽線や大陰線が交錯したり突発的な乱高下なども起きてきます。
そのため、リスク回避の観点から言えば地政学的リスク発生時のトレードは完全に休んで様子見に徹することが大切な資金を守ることにつながります。
もし、ハイボラティリティ、ビッグトレンドを狙ってトレードをしていく場合には、十分な資金管理の下、リスクが通常よりも大きいことを受け入れたうえでトレードしていくことが大切になります。