FXの塩漬けとは、損切り予定だったポジションを損切りしないで放置して時間が経過することを指します。
FXで戦略のない塩漬けは最悪です。私も昔は塩漬けでの失敗が数えきれないくらいあります。塩漬けポジションは待っていれば解消できることも多いのですが、何ヶ月もの塩漬けになってしまえば機会損失の方が大きくなってしまいます。
そして、塩漬けの最悪パターンは、急激な相場変動での強制ロスカットです。
良い塩漬けと悪い塩漬け、そして塩漬けポジションの解消法と、塩漬けしてしまったときの対処法を考えていきます。
目次
FXでの塩漬けとは?
塩漬けとはポジションを持った後に思惑とは逆方向に進んでも損切りをせずに、そのままポジションを持ち続けることをいいます。
要はマイナスが膨らんでいるにもかかわらずにポジションを放置している状態です。
数分程度では塩漬けとは言いませんが、1日、2日、1週間、1ヶ月、それ以上と、自分の考えていたポジション保有時間を超えてしまえば塩漬けと考えていいと思います。
ポジションを塩漬けにしてしまう人は、「そのうち戻るだろう」という希望的観測で損切りしないで持ち続けてしまいます。
確かにポジションを保有し続ければ10回中9回は建値に戻るのがFXですから、損切りしたくない気持ちもわかりますし、私もたくさんの経験があります。
しかし、なかなか塩漬けポジションが解消されずに長期間保有し続けてしまって悩んでいる人は多いようです。
塩漬けしてしまう原因とは?
塩漬けポジションを作ってしまう原因で一番多いのが、損切りできない、損切りしたくないというものです。
損切りしてしまえば、損失金額が確定してしまい、口座残高が減ります。
損切りしなければ、評価損はあったとしても口座残高は元のままです。
FX口座の残高を減らしたくないから、損失を確定させたくないから、戻ることを期待して損切りせずに塩漬けしてしまうのです。
このFXでの塩漬け、初心者の方に多いのかと言えばそんなことはありません。FX歴が何年もある中級者の方に一番多くなっています。
FX初心者の場合は、相場が何かもよくわかっていない場合が多いためにルール通りに損切りできます。
少し経験を積んできたFX中級者になると、「ここは戻るんじゃないか」とか、「このラインでは反発するはず」とか、自分の考えが前面に出てきてしまうので損切りしないで塩漬けにしてしまう人が増えます。
FX上級者になれば損切りしなければ勝てないことが身にしみてわかっているので損切りは徹底します。そのため、塩漬けポジションを作ってしまうことはなくなります。
塩漬けの一番のデメリットは?
塩漬けポジションを持ってしまうと、そのポジションに対する証拠金が固定されてしまいます。総資金に対して大きなポジションが塩漬けになってしまえば、全くトレードできない状況に陥ってしまうこともあります。
これが塩漬けでの機会損失であり一番のデメリットです。
塩漬け期間中の機会損失が大きい!
例えば100万円の資金の人が10万通貨のドル円の買いポジションを持って2円引かされて塩漬けになっているとします。
ドル円が100円なら必要保証金は40万円、2円のマイナスなら20万円の含み損ですから、60万円が固定されてしまっていて、動かせる証拠金は40万円しかないことになります。
この40万円も、さらにマイナスが進む可能性を考えれば新たなトレードで使うことはできません。
ということは、塩漬けポジションのほかには一切トレードできない状態になっていると言えます。どんなに取れそうなエントリーチャンスが来ても指をくわえて見ているだけしかできません。
これが塩漬け期間中の機会損失です。
塩漬けポジションがなかったら、どんどんトレードできてプラス収支も積み重なっているかもしれませんが、トレードできないのですから絵に描いた餅です。
こういった機会損失をなくすためには、ポジションを絶対に塩漬けにしないことが大切です。
精神的にキツイ
塩漬けポジションを持ってしまうと、「相場が急変して強制ロスカット」の恐怖に怯える日々が続くことになります。
また、時々チャートを開いて、「まだ○○円の損失だ!」「また損失が増えた!」「少し戻ってきた!」と評価損益を見るたびに一喜一憂してしまいます。
私も塩漬けポジションを持っていた時は、朝起きてすぐにチャートをチェックし、「良かった、まだポジションがある」とホッとしたものでした。
サラリーマンの方なら仕事をしていてもポジションが気になって仕事に集中できないかもしれません。
中には塩漬けポジションのマイナスを見るたびに食欲が落ちて、激ヤセしてしまった方もいるようですし、悩み過ぎて胃潰瘍になったなんて話も聞きます。
精神的にキツイ塩漬けは絶対にしないようにしないといけません。
塩漬けは癖になってしまう!
塩漬けしたポジションが数日たって建値以上に戻ってくると、ほっと胸をなでおろして決済すると思います。
「戻って良かった!」
「損切りしなくてよかった!」
という気持ちですね。
でも、これが癖になってしまうと危険です。
一度でも引かされたポジションが建値に戻る体験をしてしまうと、次にポジションを持って引かされてしまった時にも、「どうせ戻るだろう」という安易な考えで再度塩漬けにしてしまう確率が高くなります。
そしてまた精神的にキツイ日々が始まります。
そして、最終的には大きな変動に巻き込まれて強制ロスカットになり大きな損失を出してしまうことになります。
私の塩漬けの恥ずかしい体験談!
FXを始めたばかりの頃の私は「コツコツドカンの記事」でも書きましたが、いつからか損切りしないことが当たり前になっていた時期があります。
要は、建値以上に戻るまでは、いつまでも塩漬け状態です。
ですから、100万円以上のマイナスを抱えた塩漬けは5回、いや、もっとたくさん経験していますし、数十万程度の塩漬けなら数えきれないくらい経験があります。
そんな中、私の塩漬けでの最大含み損は500万強でした。
この500万円の含み損、どうやってできて、最終的にはどうなったかと言えば・・・
- ポンド円を30万通貨で買い
- 含み損が5円、マイナスが150万円を超える
- ナンピンで30万通貨の買いを追加
- 含み損が250万円を超える
- 更にナンピンで30万通貨の買いを追加
- 合計で90万通貨の買いポジションを保有
- 含み損が500万円を超える!
- 寝ている間に強制ロスカット
ここまでかかった期間は3ヶ月ほどでした。
本当はもっと資金を追加するつもりだったのですが、朝起きたらポジションが強制ロスカットされていたのです。
もう、頭の中は真っ白になりました。なにもやる気が起きずに、しばらく放心状態になっていた記憶があります。
これには続きがあって、強制ロスカットになった朝、すぐに口座に資金を100万円入金し、ロスカットと同じくらいの値で30万通貨の買いポジションを作りました。
今考えると、よほど悔しかったのだと思います。
その30万通貨の買いポジション、どこまでも持って500万円の損失を取り返すつもりだったのですが、1円ほどプラスになったところで決済してしまいました。1円の利益は自分としては頑張って我慢した方なのですが、当初の思惑と違いチキン利食いでプラス30万円です。
しかし・・・
強制ロスカットされた値が底になって、10日後くらいには建値に戻っていました。
あの時、資金を追加できていたら強制ロスカットで500万円の資金を失わずに建値以上で決済できていたのです。
でも、もし追加資金投入で500万円の損失が助かっていたとしたら、今でも塩漬けの悪い癖は直っていなかったかもしれません。それを考えれば、高い代償でしたが強制ロスカットになって良かったとも言えます。
この強制ロスカットは、私のFX経験の中で一番大きいロスカットになり、今でも一番悔しい経験になっています。
私の悪い癖
私の悪い癖で、マイナスポジションを持っていても、精神的に普通の状態でいることができてしまいます。例えば100万円の含み損の塩漬けポジションを持っていても、夜はゆっくり、ぐっすり眠ることができるのです。
資金に余裕があることはもちろんですが、その当時は100万や200万なら、すぐに取り返せると思い込んでいたんですね。
実際には、マイナスはいくらでも耐えられるのに、プラスは耐えられなくてチキン利食いしてしまいますから、一気に大きく儲かった(取り返した)経験は数えるほどしかありません。
FXで安定して勝ち続けるには、地道に着実に利益を積み重ねていくしかないと気付いた時には、1年で1000万以上の損失が積み重なっていました。
ある意味、メンタルが強いといえるかもしれません。
塩漬けポジションを解消する方法は?
誰でも一度は経験するFXの塩漬け、解消方法はあるのでしょうか?
最悪のパターンを想定して根性で持ち続けるか、あきらめて損切りしてしまうくらいしか手はなさそうです。
いつかは戻ってくるのを待つ塩漬け解消法!
相場は常に上下動していて、数日単位ではなく年単位や数十年単位で見れば大きなレンジ推移です。
ですから、何日、何ヶ月、何年かかるかはわかりませんが、いつかは建値に戻ってくる確率は高くなっています。
私の会員の方でも、ポンド円で4年以上塩漬けしていたポジションが建値に戻った強者もいるくらいです。
そのため、余裕資金でポジションを持っていて、大きな変動に耐えられる資金管理ができるならば、何年でも戻ってくるのを待つという塩漬け解消法もあります。
そうすれば損失は確定しないので建値に戻れば塩漬け解消です。
ただし、スワップポイントがありますから、プラススワップ方向へのポジションでないと、塩漬け期間が長くなればなるほどマイナススワップが貯まっていくことになります。
スワップポイントはちりも積もればで馬鹿にできないので十分に気をつけなければなりません。
あきらめて損切りしてしまう塩漬け解消法
元々が自分の思惑と反対の値動きが強くなって塩漬けポジションになってしまっていますから、潔くあきらめて損切りしてしまうことも一つの解消法です。
確かに損失を確定させるには勇気が必要ですし、大きな損失だったとすれば精神的なダメージも大きいかもしれません。
しかし、これからさらにポジションが逆行して含み損が大きくなり、最終的には強制ロスカットになる可能性もあります。
損切りしてしまえば、気分の落ち込みはあるかもしれませんが、新たな気持ちでスタートできることになります。
もう二度と塩漬けはしないと心に誓ってスパッと損切りしてしまい、新たな気持ちで再出発しましょう。
塩漬けポジションを損切りしないで解消するには?
作ってしまった塩漬けポジションは損切りしたくないものです。なんとか損切りしないで乗り切る対処法はないものでしょうか?
私は昔塩漬け名人でしたから、様々な対処法を試して解決したことがあります。その対処法でうまくいったこともありますし失敗したこともありますが、私が実際にやったことがある対処法を書いてみたいと思います。
両建てで様子を見ながら解消する塩漬け解消法!
買いで持ったポジションが塩漬けになってしまい、大きな目線でも下落トレンドで更に値が下がりそうな場合、買いと同数の売りポジションを作って両建てで凌ぐという方法があります。
同数の両建てですから損失を固定していることになりますが、更に思惑と違って逆行していく場合は有効な戦略になります。
そして、下げ止まってトレンド転換の兆しが見えたら売りポジションを決済してしまうと売っていた分の証拠金が増えます。損失額も増えているはずですが証拠金に対する割合は一緒です。徐々に値が回復して建値方向に進んでいけば成功です。
ポジションが建値に戻れば証拠金も増えているので大成功になります。
ただ、両建て戦略で怖いのは、両建てした途端に最初のポジションの方向に進まれてしまうことです。本当なら含み損が減っていくはずなのに、両建てですから損失は固定されたままになってしまっています。
こうなると、両建て戦略は失敗ですから、しばらく様子を見るか、損切りしてしまうしかなくなってしまいます。
ナンピンして平均取得単価を下げて塩漬けを解消する!
「下手なナンピンすかんぴん」なんてことわざもあるように、ナンピンは諸刃の剣です。しかし、使い方によっては塩漬けポジションを救える可能性も高くなります。
例えば100円でドル円を買い、今、98円で2円の含み損があるとします。ここで最初のポジションと同数の買いポジションを作ります。
すると、100円の買いと98円の買いを持つことになります。平均取得価格は99円になりますから、ドル円が99円まで上昇してくれればトータルで建値に戻ることになります。
最初のポジションの建値100円まで待たなくても早く決済できることになります。
しかし、ナンピンポジションを作った後に、更に値が下がってしまった場合、損失スピードは最初の2倍になることになり、あっという間に損失が拡大していってしまいます。
これを考えれば、ナンピンは非常に危険な戦略ということになります。下げ止まった根拠がある場合や、資金管理できる場合にしか使えないことになります。
塩漬けポジションとは別にトレードしながら塩漬けを解消する!
できてしまった塩漬けポジションは仕方がありません。この塩漬けポジションはそのまま放置することにして、余裕証拠金の範囲内で別にトレードしていきます。
スキャルピングやデイトレードでサクサク利確損切りできるトレードがベストです。
買いの塩漬けポジションがあったとしても、買いでも売りでもトレードしていきます。もちろん逆に売りポジションが塩漬けになっていたとしても、買いでも売りでもトレードしていきます。
要は、塩漬けポジションを完全に無視してしまうわけです。
そして、塩漬けポジションの損失を埋めていっている間に、塩漬けポジションが解消方向へ戻っていけば最高です。
塩漬けポジションが解消されたときには証拠金も増えていることになります。
ただし、この短期トレードでは間違っても塩漬けしてはいけません。塩漬けしてしまったら、2つの塩漬けポジションが同時進行してしまうことになり最悪な結果になりかねません。
少しずつ損切りしながら解消していく
上記のように塩漬けポジションは放置したまま、余裕証拠金で別に短期トレードを繰り返します。もちろん、利確損切りはしっかりすることが前提です。そして、プラスになった分、塩漬けポジションを損切りするのです。
例えば、1万円儲かったら、1万円分のマイナスを生み出している塩漬けポジションの通貨数分を損切りします。儲かった分を損切りしますから証拠金(口座残高)は変化なしということになります。
証拠金は変わらずに塩漬けポジションは少し減り、含み損も少し減ることになります。
これを繰り返していき、塩漬けポジションを徐々に減らしていって、最終的には全部なくしてしまおうという考え方です。
少しずつ塩漬けポジションが減っていく間に、建値方向に進んでいれば含み損は減ることになります。逆に損失方向に進んでいったとしても、ポジション量は減っているわけですから気も楽になってきます。
もちろん、短期売買でプラス決済できていることが前提ですから、普段のトレードで勝てない場合は使うことができません。
私的には、これが一番お勧めの塩漬けポジションの解消法です。
資金管理がしっかりした塩漬けならOK!
強制ロスカットに合わないポジションサイジング、または、損きりラインを決めた戦略的な塩漬けであれば塩漬けポジションを作っても構いません。
塩漬けしてしまってから最悪のパターンを想定して逆指値を入れてもいいと思います。
この場合は、最初から塩漬けを想定していることで、戦略的な塩漬けとなり大きな問題は発生しないわけです。
スワップ狙いの良い塩漬け
スワップポイント狙いで戦略的にポジションを保有することは塩漬けとは言いません。そこにはスワップを得るという戦略があるためです。
しかし、スキャルピングやデイトレードでトレードしていたはずなのに、含み損のポジションを放置して塩漬けにし、スワップ狙いに切り替える方がいます。
スワップポイントがプラス方向であれば、塩漬けしていればスワップポイントが付きますから不正解とは言えないかもしれません。
しかし、最初はスキャルやデイトレで利確、または損切りする予定だったポジションを、なんの戦略もなくスワップ狙いに切り替えるのは、その場しのぎの悪あがきにも見えてしまいます。
スワップを狙う方は高金利の通貨ペアを狙い、損切りに合わない戦略でポジションを作ります。
長く保有することを前提でポジションを作りますから、塩漬けという括りでは一緒になりますが、スワップ狙いは良い塩漬けになります。
FXの塩漬けポジションの解消法!損切りする?しない? まとめ
塩漬けの原因と解消法を詳しく解説してきました。
塩漬けはしない方がいいのは絶対ですが、もし、塩漬けポジションができてしまったら「潔く損切りする」「ナンピンや両建てで解消する」「少しずつ損切りしていって解消する」などの対処法もあります。
ただ、対処法を間違えてしまうと更に状況が悪化してしまうこともあるので、最悪のパターンを想定したうえでチャレンジしていく必要があります。
FXで安定して勝ち続けたいなら損切りは絶対条件です。
「塩漬けポジションは作らない」を徹底していきましょう。