FXのトレンドフォローについて詳しく解説します。
FXのトレンドフォローとはトレンドをフォローすること、要はトレンドに素直に追随していくことを指します。相場が上昇していれば買い、下降していれば売りです。一般には順張りとも言われています。逆の意味で使われるのはトレンドに逆らう逆張りになります。
トレンドフォローという言葉は誰でも知っていて色々な意味で使われていますが、本質を知っている人はそんなに多くいません。
トレンドフォローの本質、使い方、トレンドフォロー手法を知ることにより、FXって意外に簡単に勝てるんだということがわかってくると思います。
そしてトレンドフォロー手法は、FX手法の中では王道と呼ばれていて多くの方々が使っています。特に大きな資金を動かしている人たちの多くはトレンドフォロー手法を使っていると言われています。
個人トレーダーだと逆張りトレードをしている人が多いようです。これもFX参加者に安定して勝てる人が少なくなっている理由の一つかもしれません。
トレンドフォロー手法を理解して使いこなせば勝ち組に一歩近づけるのは間違いありません。
目次
FXのトレンドフォローとは?
FXでトレンドフォローと言えば、上昇トレンドの時は買いポジションを持つ、下降トレンドの時は売りポジションを作ることを指します。
エントリーしていくタイミングは手法やルールによって様々ですが、上昇しているときは素直に買っていき、下降しているときには素直に売っていくわけです。
言葉にすれば簡単そうに見えますが、実際には既にトレンドができているところに追随してポジションを作っていくことになるため、乗り遅れ感があったりしてポジションを作れなかったり、買ってみたら高値掴みだったりとタイミングは難しいものです。
ただ、トレンドに沿ったポジション構築になりますから、闇雲な逆張りに比べれば利益が乗る確率は数段高くなることになります。
上昇するか下降するかは誰もわからない?
以下のチャート、これから上昇すると思いますか?下降すると思いますか?
答えは
トレンドが続いて大きく上昇しました。
次に以下のチャート、これから上昇すると思いますか?下降すると思いますか?
答えは
最初のチャートと同じような上昇トレンドのチャートでしたが、急に値を下げてトレンド転換してしまいました。
このように、同じように上昇しているようなチャートでも急にトレンド転換が起きる場合もあるために、チャートの右端、未来は誰にも確実な予想はできません。
そのため、上がるのか下がるのか1%でも確率の高い方にポジションを作ってトータルで利益を出していくことがFXで安定して勝ち続けていく方法になるのです。
トレンドはダウ理論で判断する!
ダウ理論は奥が深く判断材料も多い理論ですが、上昇トレンドと下降トレンドの定義だけはしっかり覚えておきましょう。
ダウ理論を超簡単に説明すれば、高値が更新されて安値が更新されないのが上昇トレンド、要は高値と安値を切り上げながら上昇しているチャート形です。高値が更新されずに安値が更新されるのが下降トレンド、要は高値と安値を切り下げながら下落しているチャート形です。
上昇トレンド(高値と安値が切り上がっている)
下降トレンド(高値と安値が切り下がっている)
この高値安値の更新状況が崩れたらトレンドが終わったことになり、トレンドの転換になるか、レンジ推移に移行するか、それとも、元のトレンドに戻るか、いずれかの値動きになっていくことになります。
この高値安値の更新の判断がトレンド状況を把握するためには一番簡単でわかりやすい理論になりますが、実際のリアルタイムチャートでは、理論通りのきれいな形のチャートパターンの出現はかなり少なくなります。
トレンドをダウ理論で100%完全に定義づけしようとする方もいますが、上昇なのか下降なのかレンジで横ばいなのか、高値と安値の更新状況からザックリ判断して良いと思います。
私の場合、上昇トレンドで買いのポジション構築を考える場合には、高値の更新は重要視しますが、安値の切り上がりはあまり気にしません。
逆に下降トレンドでの売りポジションの構築を考える場合には、安値の更新は重要視しますが、高値の切り下がりはあまり気にしません。
あまりにも完全なチャート形を追い求めてしまうとエントリーチャンスが減ってしまうのが大きな理由ですが、強いトレンド発生時は節目での押し、戻りでダウ理論が崩れてしまうことも多々あるためです。
また、高値安値の更新状況は、それだけでエントリーを思考するのはなく、ほかのエントリールールに付随して考えるといった使い方をした方がトレードの精度制度も上がると考えています。
FXのトレンドフォローで使えるインジケーターは?
<移動平均線( Moving Average )>
移動平均線はもっとも一般的に使われているインジケーターです。移動平均線が上向きになっていれば上昇トレンド、下向きになっていれば下降トレンドです。また、移動平均線より上に価格があれば上昇トレンド、移動平均線より下に価格があれば下降トレンドです。
移動平均線の設定期間によって長期、中期、短期でのトレンドも把握できるようになります。
移動平均線を入れるとチャートの見た目でトレンドの判断が容易にできますが、更にトレンドラインを引けば一目瞭然にトレンドが判断できるようになります。
トレンドラインの引き方は厳密には決まっていません。
上昇トレンドに見えたら安値を数ヵ所選んでラインを引いてみます。下降トレンドに見えたら高値を数ヵ所選んで斜めのラインを引いてみてください。トレンドを見るだけなら厳密に計算して引く必要はなくて太線でざっくり引いてみましょう。
上昇トレンド
下降トレンド
<平均足( Heiken Ashi)>
トレンドの判断には平均足もよく使われています。上昇と下降で色が変わるので見たで判断しやすいからです。色はFX会社によって変わる場合はありますが、一般的なMT4だと白が続けば(多ければ)上昇トレンド、赤が続けば(多ければ)下降トレンドです。
トレンド方向の色に変わったところが押し目になるので、エントリーポイントの判断材料として使っている方も多くなっています。
上昇トレンド
下降トレンド
ほかにもボリンジャーバンドやMACDでもトレンド判断ができます。自分の好きなインジケーターを使ってトレンド判断していきましょう。
トレンドフォローのメリットデメリットとは?
FX初心者の方がトレンドフォローで間違ってしまうのは、急に上昇してきたときに乗り遅れないように高値買いしてしまうパターンです。高値で買ってしまえば、そこから値を下げて押し目を作りにいくかもしれないし、そのまま下げてトレンド転換になることも多いので損失になってしまう確率の方が高くなります。
これは多くの方がFX初心者の時に経験していると思います。
トレンドフォローのメリットとデメリットを見ていきます。
<トレンドフォローのメリット>
- エントリーポイントがわかりやすい
- 利益になる確率が高い
- 大きな利益が取れる可能性がある
- 損切りポイントもわかりやすい
- 大きな損失になりにくい
<トレンドフォローのデメリット>
- 高値買い安値売りをしやすい
- エントリーチャンスが少ないことがある
- 行き過ぎている場合にはエントリーしにくい
- 利益確定ポイントで迷うことがある
トレンドフォローには上記したようにメリットもデメリットもありますが、圧倒的にメリットの方が多くなっています。デメリットでわかりにくい部分では、エントリールール、決済ルールを細分化して決めておくことで対処できます。
FXのトレンドフォロー手法とは?
トレンドフォロー手法の基本は押し目買いです。
エントリーポイントを判断する方法は多種多様にあるのですが、ほとんどのトレンドフォロー手法では押し目買いを基本としています。
例えば5分足チャートに20EMAを表示させて見ます。
高値安値の更新状況から上昇トレンドを確認できたら、チャート上の20EMAを割ってから20EMAを超えたローソク足で買いエントリーします。上図だと黄色の矢印のローソク足です。上昇トレンドが続けば利益になることがわかると思います。
基本の損切りはエントリーポイントから見て直近の安値を割ったラインになります。
チャート上に20EMAしか表示させない、たったこれだけのトレンドフォロー手法だったとしても、利益確定ポイントをベストポイントに設定するだけでトータルでプラス収支になれる手法の完成です。
ただ、たったこれだけのルールだと中途半端な上昇トレンドでは損切りが多発してしまうために勝率が下がりトータル収支が伸びてこないので他の条件設定が必要になってきます。
ほかの条件をプラスして利益確定条件も含めてある程度の勝率も確保できたら、トータルでプラス収支を安定して出していけるトレンドフォロー手法の完成です。
でも、勝率にばかりこだわる人がいますが、FXで勝ち続けていくために大切なことは勝率ではなくて利益がいくら残ったかです。
こういったトレンドフォローの手法では、できているトレンドに追従していくために高値で買ってしまっての損切りや、安値で売ってしまっての損切りも出てきます。
それでも、トレンドがいつまで続くかは誰にもわからず、トレンドが終わるまでトレンドは続くために、優位性のあるルールが確認できたならば同じルールでポジションを作っていくのが普通であり正解です。
私の使っているPDFBのトレード手法もオリジナルのトレンドフォロー手法です。押し目でもエントリーサインが出て小さなトレンドも追いかけていくので利確の連続も多々あります。
ただ、トレンドを追いかけることで高値買い安値売りもあり損切りが増えてしまうこともありますが、トータルで見れば十分な利益が出ています。
もう一つ、トレンドフォロー手法で気をつけなければならないのは、時間軸によってはトレンドを見る期間が変わってくるということです。
1分足であれば1日単位以下~数時間でのトレンドが重要になり、収支結果も1日単位でプラスにできるのが理想です。
これが4時間足でスイングトレードをしている場合は、単純に考えて1分足の240倍の期間なのですから、240日程度でトレンドを判断し収支結果も240日間程度でプラスにできれば良いことになります。
この点を勘違いしてしまうとスイングトレードをしているはずなのに、1ヶ月間の収支しか見ないで今月はマイナスだった……みたいに落ち込むことになります。スイングトレードの場合は1年単位くらいで収支を見ていくのが正解、5分足なら1週間単位で収支を見ていくのが正解と覚えておきましょう。
長期足でレンジの場合は短期足でも勝率が落ちる
トレンドフォロー手法で一番やっかいなのがレンジ推移です。
トレンドなのかレンジなのかをしっかり判断できていないと、トレンドだと判断してポジションを作った途端に逆行されてしまうなんてパターンが増えます。
- 5分足でトレードするのなら1時間足
- 1時間足でトレードするなら4時間足
- 4時間足でトレードするなら日足
こんな感じでトレードするチャートよりも大きい時間軸のチャートを見てレンジになっていないかを確認するようにしましょう。
こういった異なる時間軸のチャートを見て売買の判断をしていくことをマルチタイムフレーム分析ともいいます。
なかでも、長期足と短期足が揃った時の短期足でのトレンドフォローが一番効率が良いとされています。
例えば5分足でトレードしているのであれば1時間足をみます。1時間足で上昇トレンドが確認できている場合、5分足でも上昇トレンドが確認できたら押し目から買いでエントリーしていきます。
1時間足で上昇トレンドの場合に5分足で売りエントリーはしません。5分足で下降トレンドだったとしても1時間足でみれば押し目を作っている可能性が高いためです。
異なる時間軸のトレンドが揃った場合、特に上位足のトレンドに下位足のトレンドが揃った時に追従してトレンドが続くことが多くなるために優位性が出ることになります。
こういったマルチタイムフレームを使ったトレンドフォロー手法は、10年以上前から有償無償で数多く公開されてきていて、現在でも活用できるトレンドフォロー手法として使っている方は多くなっています。
ただ、トレンドの初動が取れないことと、トレンドの終焉時にポジションを作ることも多くなるので注意が必要になります。
トレンドフォロー手法で大切なのは損切り
エントリーで1番良いのはトレンドが発生している、もしくはトレンドが発生し始めた最初の押し目を狙うことです。
トレンドはいつまで続くか誰にもわからないと書きましたが、基本的にはトレンドが続くことを前提にポジションを作ります。
トレンドが終わってしまったら損切りすればいいだけです。
トレンドの終わりはトレンドの条件を満たさなくなったときです。上昇トレンドであれば高値が更新できなくなる、安値を更新してしまう、これがトレンドの終わりのサインです。
上昇トレンドでポジションを作った場合に高値を更新できずに安値を更新してしまったら、そのラインが一番適切な損切りポイントになり、そのポイントで損切りさえできていればトータルで勝てるといっても言い過ぎではありません。
トレンドの終わりごろにポジションを作ってしまえば、すぐに高値安値の更新の条件を満たさなくなることが多いので、即損切りすることが正解になります。
もちろん、ダマシ的な値動きも多いのがFXですから、すべて完璧に条件に当てはまっていくということはありません。あくまでもトータルで勝っていくということを前提に最善の損切りができるポイントを決めることが大切です。
トレンドフォロー手法の失敗談!
私は2009年1月からFXを始めたのですが、当初は適当な勘トレードで勝ったり負けたりを繰り返し、時々あるコツコツドカンで大きく利益を減らすことを繰り返していました。
そんな中でもトレンドフォロー手法に関する大失敗は今でもしっかり記憶して、二度と同じ間違いをしないように心に誓っています。
当時の私は1分足メインでトレンドフォロー手法をオリジナルで作ってトレードしていました。
そのトレンドフォロー手法は実に簡単なルールでした。
- ポンド円1分足を表示
- 20EMAを赤の太線で表示
- 20EMAが上向きで20EMAを下抜けてから20EMAを上抜けたら買いエントリー
- 20EMAが下向きで20EMAを上抜けてから20EMAを下抜けたら売りエントリー
- 利益確定は34pips指値
- 損切りは直近の高値安値を割った時
たったこれだけのトレンドフォロールールでした。
上昇していく時に買いエントリーで、下降していく時に売っていくわけですから、立派なトレンドフォロー手法です。
利益確定の34pipsは、30万通貨でトレードしていたので1回で10万円の利益が出るように勝手に設定していました。今なら鼻で笑ってしまうほどの適当な利益確定の設定方法です。
なんの根拠も無しに、自分がほしい利益金額を優先させた利益確定は確実に失敗します。時々は成功しても根拠無しの場合にはトータルで勝てないのは当たり前の話です。
しかし、2009年はボラティリティが今の3倍以上もあったことで34pips指値の利益確定が1日に何度も決まってしまうことが多々ありました。
もちろん、1日で30万以上の利益の日も多くあり、一時期はシンプルなトレンドフォロー手法だけど世紀の大発見みたいに有頂天になって億万長者になったつもりだったのです。
でも、トレンドフォローを勝手に解釈して大失敗して損失を出しまくります。
損切りは直近の高値安値を割ったらと明確に決まっていました。そのため、最初のうちはしっかりと損切りをしていたので損小利大になっていてトータルでも勝てていたのです。
しかし、自分のトレードを検証していると「悪魔のささやき」が聞こえてきました。
損切りしたトレードを見ていると、1分足で逆行されていても5分足や1時間足でトレンドフォローになっている時は、損切りしないで耐えていれば、ほとんどのポジションが建値以上に戻り、利益が乗って指値まで届いているトレードも多かったのです。
この日を境に私は損切りをしなくなってしまいました。
上昇トレンドで1分足チャートでエントリーしたポジションが逆行されて直近安値を割って損切りポイントに到達するとチャートを5分足に切り替えます。5分足だとまだ上昇トレンドなので損切りしないで耐えました。
さらに逆行して5分足でも直近安値を割ってきます。すると1時間足に切り替えてみて上昇トレンドのようなチャート形になっていれば損切りしないで耐えてしまったのです。
損失はあっという間に100pipsを超えて300pipsを超えた時もありました。ポジションの保有は数日に及ぶ時も多くあり、ポジションを持っている間は新規でのポジションを持てないのでチャートを見ているだけの日々が続きます。
デイトレードのはずだったのにポジション塩漬けのスイングトレードに変わっていたのです。
そして最後には・・・
朝起きたら強制ロスカットで100万円以上の損失……
もっと最悪な時には、夜寝る前に証拠金に不安があると即時入金で資金を追加して寝たことも何度もあります。
そして、朝起きたら強制ロスカット……
この最悪な損切りしないトレードですが、10回中9回以上は建値以上に戻ってくれていましたので、利益が積み重なって大きくなっている時期も多く、当時の私のFX会社の売買履歴には赤字(マイナス)がほとんどありませんでした。
ただ、時々あるドカンの大きな負けで100万以上の損失を何回も出すことでトータルでは損失が膨らんでいってしまったのです。
これがトレンドフォローを勝手に解釈した私の大負けの体験談です。
でも、この1年間で大負けしたことによって損切りの大切さが身に染みてよくわかり、翌年からは損切りを絶対ルールにしたことで勝率は下がりましたが毎月勝てるようになり利益を残せるようになりました。
今でも私は逆張りをほとんどしないでトレンドフォロー手法をメインに活用しています。トレンドフォローで押し目と戻りに反発を加えてテクニカル的に判断していくと月トータルでは負けることはありません。
トレンドフォロー手法をメインにして15年目ですが、毎月利益を出せているということはトレンドフォロー手法にしっかりとした優位性があるということになると思います。
FXトレンドフォローとは?トレンドフォロー手法が勝てる理由とは?まとめ
FXのトレンドフォローとはなにか、トレンドフォロー手法の考え方や使い方などを紹介してきましたが、トレンドフォローには大きなメリットが多く勝てるトレード手法になることがわかっていただけたと思います。
特にマルチタイムフレームでの長期足のトレンドへ短期足のトレンド追従では勝率も上がる傾向にあり、複数通貨ペアを監視して簡単にトレンドが判断できる通貨ペアを選択してトレードしていけばトータルでの収支も安定してくるはずです。
逆張りはエントリーチャンスも多く魅力的な手法ですが、エントリータイミングも損切りも難しく、大きく取れないことも多いために初心者向けではありません。
トレードの王道とも言われているトレンドフォローを手法に取り入れて、トータルで安定した利益を出していけるようにしていきましょう。