酒田五法って知っていますか?
酒田五法は酒田罫線法とも呼ばれ、江戸時代に生まれたチャート形を使った投資手法です。現在で言うチャートパターン分析を使ったテクニカル手法の原型といえるかもしれません。
元々は株式投資で使っている人が多かったのですが、FXでも知っていたら役立つ場面がたくさんあります。また開発から200年以上たった現在でも使える手法ということで信頼度も高くなっています。
三山、三川、三空、三兵、三法の5つからなる酒田五法、それぞれに売りのパターンと買いのパターンが存在します。これらの酒田五法のチャートパターンと使い方をFXのチャートを使って簡単にわかりやすく詳しく解説します。
目次
酒田五法とは?
酒田五法は今から200年以上前の江戸時代に山形県酒田市に住んでいた相場師の本間宗久という人物が考案したチャート分析法です。ローソク足の並びをチャート形として捉えて、そのチャート形から未来の値動きを予測します。
山形県酒田市には今でも本間様の影響は残っていて、本間家旧本邸や美術館なども存在しています。ゴルフ好きなら誰でも知っている本間ゴルフも元々は本間家の子孫みたいに言われることもあります。
そんな大昔に大きな財産を作ったと言われる酒田五法は、チャートパターンとして三山、三川、三空、三兵、三法の5つが基本になっています。
買いパターンと売りパターンがあるチャート形もありますから、実際の基本パターンはもっと増えることになります。
酒田五法のFXでの実際の使い方
酒田五法はFXで言えばチャートパターンですが、完璧に同じチャート形というのは滅多に出現しません。応用として似たような形でも認識できるように勉強して覚えていきましょう。
また、1分足などの小さい時間軸のローソク足よりも1時間や日足の方が機能しやすいことが確認されています。私の場合は5分足や15分足でも酒田五法のチャート形ができていたら一応気にするようにしています。
酒田五法のチャート形が、すべての場面で機能するのではなく、あくまでも確率的に見て同じ結果になりやすいと考えておきましょう。
以下に三山、三川、三空、三兵、三法の5つで買いパターンと売りパターンを紹介します。
三山(さんざん)とは?
三山とは3回同じ高値で止まって下落するチャート形です。
上図で言えば①②③の高値で3回止められているので三山のチャート形になっていることが一目でわかります。
3回も同じ値で止められると上図のようにきれいな水平線も引けることになりますから、水平線を突破するのは無理と判断できて下落してくると予測できるわかりやすいチャート形になります。
トリプルトップと呼ばれることも多いです。
似たようなチャート形にダブルトップ(下図)があります。三山が3つの山なのに対してダブルトップは2つの山で判断します。よく耳にするチャート形ですので知っている人がほとんどだと思います。
<FXチャートでの三山の例>
三山は高値が3回ピッタリ同じ値で止まることは稀です。真ん中が高く右側が下がると信頼度が上がると言われています。
上のチャートは高値圏で出現した三山。②の山が若干高くなっているが黄色の水平線で止められたと見て三山完成から大きく値を下げています。
上のチャートは高値圏で出現した三山。②が若干低くなっているが黄色の水平線で止められた形で③以降大きく値を下げています。
三川(さんせん)とは?
一般的には上図のような三山の上下反対のチャート形が三川と呼ばれています。逆三山と呼ばれることもあります。
3回同じ安値で反発してきたら、下げ止まっていくらなんでも上昇してくるだろうという感じで買いサインになります。安値に水平線を引くとわかりやすいと思います。
トリプルボトムと呼ばれることも多いです。
似たようなチャート形にダブルボトム(下図)があります。三川が3つの山なのに対してダブルボトムは2つの山で判断します。
この三川は様々な捉え方をされている場合も多く、以下のようなチャート形も三川と呼ばれています。
一例をあげると
三川明けの明星(さんせんあけのみょうじょう)
1本目:陰線
2本目:窓をあけて小さなローソク足
3本目:上の窓をあけて長めの陽線
下落トレンドからのトレンド転換を示すチャートパターンです。3本目の陽線が確定したら買いになります。
三川宵の明星(さんせんよいのみょうじょう)
1本目:陽線
2本目:窓をあけて小さなローソク足
3本目:下に窓をあけて長めの陰線
上昇トレンドからのトレンド転換を示すチャートパターンです。3本目の陰線が確定したら売りになります。
私的に上記2つは結構信頼度が高いと考えています。また、他にも様々な形のある三川ですが、代表的な上記2つを覚えておけばいいと思います。
<FXチャートでの三川の例>
三川も三山同様に3つの安値がピッタリ同じになることは稀です。3回反発して水平線が引ける形になれば三川完成と見て良いと思います。
上のチャートは急激に下げてきて①で下げ止まり。②と③で①の安値を超えられずに同じような値で3回止まった形で三川が完成。③以降大きく反発してきています。③の後に赤三兵(後述)も出現し上昇信頼度が高くなっていることがわかります。
上のチャートは大きく値を下げてきて①で下げ止まり。②③と黄色の水平線で止められた形で三川が完成。③から上昇してもみ合った後に更に大きく上昇しています。
三空(さんくう)とは?
左図は陽線が4本、その間に3つの窓ができている形が三空の売りパターンです。三空踏み上げと呼ばれることもあります。3つも窓ができて上昇してしまうと窓埋めも出てくることから逆張りでの売りのパターンになります。
右図は陰線が4本、その間に3つの窓ができている形が三空の買いパターンです。三空叩き込みと呼ばれることもあります。3つも窓ができて下降してしまうと窓埋めも出てくることから逆張りでの買いのパターンになります。
三兵(さんぺい)とは?
上図は三兵の買いパターンです。陽線が3本連続しているチャート形で赤三兵と呼ばれることもあります。
3連続陽線での強い上昇トレンドで、3本目の陽線が確定したら買いサインになります。
赤三兵は底値圏で出た方が信頼度が高いと言われています。
高値圏で出現した場合には既に強い上昇トレンドになっているはずで、そのまま上昇トレンドが続く場合も多くなりますが、上ヒゲを伴うと上げ止まりになる場合が多いので注意しましょう。
上図は三兵の売りパターンです。陰線が3本連続しているチャート形で黒三兵と言われていますが、三羽烏(黒いカラスが三羽で三羽烏)と呼ばれることもあります。
3連続陰線での強い下降トレンドで、3本目の陰線が確定したら売りサインになります。
黒三兵(三羽烏)は高値圏で出た方が信頼度が高いと言われています。
安値圏で出現した場合には既に強い下降トレンドになっているはずで、そのまま下降トレンドが続く場合も多くなりますが、下ヒゲを伴うと下げ止まりになる場合が多いので注意しましょう。
リーマンショックの時は、この三兵の売りパターンが頻発して大きな利益を出した人が多くいたことが話題になりました。
私的にも三兵は買いパターンの赤三兵よりも売りパターンの三羽烏の方が大好きです。大きな時間軸で三羽烏が出現した時は積極的に狙っていくこともあります。
<FXチャートでの三兵の例>
上のチャートは黒三兵が何度も出現しながら大きく下げてきていましたが、三川っぽく止められた後に赤三兵が出現して大きく値を上げています。このように酒田五法が2つ重なった時は信頼度が上がります。
上のチャートは黄色丸が赤三兵。少しもみ合ったあとに大きく値を上げています。値を上げる途中で何度か赤三兵が出現して上昇を後押ししています。
上のチャートはピンク丸が高値圏での黒三兵。高値で出現してから大きく下げています。
上のチャートの黄色丸の黒三兵はダマシ。高値で出現したピンク丸の黒三兵から大きく値を下げています。
三法(さんぽう)とは?
三法は押し目からのブレイクを狙っていく手法になっていて信頼度は高いと言われています。
上図は上げ三法のチャート形です。長めの陽線のあとに、その陽線に含まれる形で小さなローソク足が3本並び、再度長い陽線が出現し最初の陽線の終値をブレイクしてローソク足が完成したら上げ三法完成です。
陽線と陽線に挟まれている小さなローソク足は全部陰線である必要はありません。また、3本が基本ですが4本でも5本でも良いとされています。
私的には形がNと似ているので、大雑把にチャート形を見てNの形状ができたら酒田五法の買いサインと見てチェックしています。
上図は下げ三法のチャート形です。長めの陰線のあとに、その陰線に含まれる形で小さなローソク足が3本並び、再度長い陰線が出現し最初の陰線の終値をブレイクしてローソク足が完成したら下げ三法完成です。
陰線と陰線に挟まれている小さなローソク足は全部陽線である必要はありません。また、3本が基本ですが4本でも5本でも良いとされています。
<FXチャートでの三法の例>
上記図のようなきれいな形の三法が出現することは少なくなっています。ほとんどが以下チャート例のような変形での出現になります。
上のチャートは黄色丸が変形の上げ三法、ピンクの丸が変形の下げ三法。完成後に窓をあけて大きく値を下げています。
上のチャートはピンク丸2つが変形の下げ三法。値を下げる途中で何度も出現しています。また黒三兵も伴っていることで下落が加速しているのがわかります。
上のチャートはピンクの丸が変形の下げ三法。長い陰線からもみ合いが続き下げ止まったかに見えた後に再度陰線で最初の陰線を割る形で下げ三法が完成。大きく値を下げています。
上のチャートは黄色丸が変形の上げ三法。上げ三法が完成してからもみ合ったあとに赤三兵を伴って大きく上昇しています。
上のチャートは黄色丸が安値圏で出現した上げ三法。ここでも赤三兵を伴って急激に大きく値を上げています。直前の黒三兵は安値圏で信頼度が低くダマシになっています。
上のチャートは黄色丸が変形の上げ三法。長い陽線の後に陽線に含まれる3本の陰線が続き、その後に赤三兵の形状の陽線で最初の長い陽線の終値を抜いて上げ三法完成。いったん押しが入るがその後大きく上昇しています。
酒田五法はFXで使えない?
酒田五法のチャートパターンはFXでは使えないという方がいます。
FXでも王道の考え方の原点となるチャート分析方法が酒田五法なのですから、FXで使えないというのはおかしな話です。
私の考えですが、FXで使えないと言っている人たちは、1回とか2回、数回使ってうまくいかなくてやめてしまった人の愚痴かなと思います。
もちろん、酒田五法が100%使える、いつでもチャート形通りになるなんてことは絶対にありません。あくまでも統計上で酒田五法のチャート分析に優位性があるということになります。
私的には10回中5回、いや、10回中3回でも機能してくれたら十分と考えています。
私は酒田五法を結構意識している!
私の場合は酒田五法のチャートパターンを結構意識しています。
酒田五法のチャートパターンでエントリーポイントだからエントリーするということはありませんが、自分のトレード手法のエントリーポイントが酒田五法と逆行していたら様子を見たり、決済の時に酒田五法と合致していたら利益を伸ばすなどといった活用法をしています。
簡単な例を出すと
- 私の1分足手法で買いのサインが出そう
- 15分足を見ると下げ三法になる可能性もある
- ここは見送っておこう
こんな感じです。この見送りは結構当たることの方が確率が高いので損切りを減らすことに役立っています。
もう一つ例を出すと
- 1分足で売りエントリーした
- 5分足で黒三兵になった
- よし、ここは利確しないで利益を伸ばそう
こんな感じです。もちろん失敗もありますが、利益を伸ばすことに成功して通常の3倍とか5倍の利確になることも多々あります。
私の場合の酒田五法は、こんな感じで確実に勝率と利益率アップに貢献してくれています。
FXの酒田五法!使い方をチャート画像付きで詳しく解説!まとめ
FXの酒田五法はどんなものなのか、どんな使い方があるのかを詳細に見てきました。実際のチャートの例でも機能している場面が多いことから、FXのリアルトレードでも十分に活用できると言って良いと思います。
ただ言えるのは紹介した図のような完全形は滅多に出現しません。ローソク足が増えたり減ったり、高値や安値が少しずれたり、様々な応用形があります。
そういった応用形もチャートパターンとして覚えていくと活用の幅も広がってくると思います。
もちろん、酒田五法とその応用形だけでも資金管理次第で十分な利益を出していけると思いますが、小さな時間軸でトレードしてガンガン儲けていくと考えると思わぬ落とし穴にはまる可能性もあります。
自分がメインで使っているチャートの時間軸の1つ上か2つ上のチャートで酒田五法に合致しないかをチェックして、エントリーするしない、利確するしない、損切りするしないなどの決定に役立てていくのが一番良い使い方かもしれません。
酒田五法は実際のFXトレードでも役立つ場面が多々あると思いますので、チャートパターンをしっかり覚えておきましょう。