最近、「FX業者はノミ行為をしていてイカサマだからFXでは絶対に勝てない、ブログを書くのはやめた方が良いですよ」みたいな内容のメールが頻繁に来ます。
最初のうちはFXで大負けした人が被害妄想でFXブログを運営している人に無差別に送っていると思って無視していましたが、FX業者のノミ行為に誤解を持っている人もいるようなので詳細に書いてみたいと思います。
ちなみにFX業者に聞いても詳細を教えてくれないので、以下は私の推測も含めた内容となっていますのでご了承ください。
目次
ノミ行為、呑み行為とは?
私と同年代の方であればノミ屋と言えば競馬を思い浮かべると思います。若い人だとノミ行為なんて聞いたこともないかもしれません。
ノミ行為は大昔から競馬などで横行していたものですから競馬の場合で簡単に説明します。競馬も知らない人にはわかりにくいと思いますが、なんとなくでも理解していただければと思います。
競馬は馬券を当てるギャンブルです。例えば1位になる馬を当てて、当たれば配当がもらえて、外れればゼロです。
これはJRAという馬券を売っているところでしか買えないのですが、JRAまで行く時間がなくてJRAに行く友達に馬券を買ってきてと頼んだとします。
友達に1000円を渡して、MAXという馬の馬券を買ってきてと頼んだとします。その友達は、その馬券はどうせ当たらないだろうと予想して頼まれた馬券を買いませんでした。結果当たらずに、私には馬券を買ったことにして頼まれた代金の1000円は友達の利益になりました。
もし当たっていたら、友達が自腹で配当金を払うことになりますが、頼まれた馬券を買わずに購入代金の1000円を自分のものにしたという行為がノミ行為ということです。
これは違法行為であり禁止されています。
これをFXに当てはめてノミ行為がどんなものか考えてみましょう。
ドル円が100円の時に1万通貨で買い注文を出したとします。FX会社はその注文を受けてインターバンクに1万通貨の買い注文を出します。これが通常の形でFX会社ではスプレッド分が利益になります。
しかし、そのFX会社は私の1万通貨分の買い注文をインターバンクに注文しませんでした。
結果、ドル円は99円まで下がって損切りしました。私は1万円の損失です。
その時、FX会社はインターバンクに注文を出していないので、私の注文を飲んだ形になっていて、私が損をした1万円がそのまま利益になります。
これがFX会社のノミ行為と言われているものです。
顧客の損失はFX会社の利益
顧客の利益はFX会社の損失
こう言われているのもFX会社がノミ行為をしているのではないかという話が原因です。
実はFX業者に関しては、このノミ行為が禁止されていません。DD(Dealing Desk)とか相対取引と呼ばれて堂々とできることになっています。
店頭取引(相対取引)と取引所取引の違いとは?
FX業者は大きく分けて二種類の会社があります。一つは店頭取引(相対取引)と呼ばれている仕組みの会社です。もう一つは取引所取引と呼ばれている仕組みのFX会社で「くりっく365」とも呼ばれています。
FX会社によっては、店頭取引と取引所取引の両方を扱っている業者もあり、開設する口座でコースを分けている場合もあります。
わかりにくいので少し詳しく見ていきたいと思います。
店頭取引とは?
店頭取引とは国内のFX会社のほとんどが取り入れている相対取引の取引方法のことです。顧客はFX業者と直接取引することになり、FX業者が提示するレートでトレードします。
顧客の注文をインターバンクに流すか自社内で処理するかはFX会社の自由とされています。そのため、ノミ行為というウワサも流れてしまいますが、狭い固定スプレッドが魅力だったり様々なキャンペーンがあったりします。
FX業者によってツールが違ったり、スプレッドが違ったりしますから、各社の顧客獲得競争となり様々な独自サービスが提供されている場合が多くなっています。
FX参加者は、様々なサービスを比べて好きなところを選ぶことができます。
取引所取引とは?
取引所取引とは、東京金融取引所が行っている「くりっく365」のことを指す場合が多く、株の売買と同じように取引所を通す売買になります。
顧客は取引所が提示するレートでトレードをし、顧客の注文はFX会社を通じて取引所に発注されることになります。
スプレッドもマーケットメイク制度により、すべての取引所取引のFX業者でほぼ統一されていますし、スワップが売り買い同額という特徴もあります。
また、取引所を通す取引になるために「安心感」「公平性」「透明性」「信頼感」があると言われていますが、業者によっては売買手数料がかかったり、店頭取引に比べてスプレッドが広いなどのデメリットもあります。
DD(Dealing Desk)とNDD(No Dealing Desk)
多くの日本のFX会社が採用しているDD(ディーリング・デスク)方式と海外業者に多いNDD(ノー・ディーリング・デスク)方式の違いを見ていきます。
DD(Dealing Desk)とは?
DD(ディーリング・デスク)方式とは、顧客の注文をFX会社のディーラーが自社で処理する形態のことを言います。
私たちが注文を出すと、FX会社のディーラーはインターバンクにそのまま注文を流す場合もありますが、顧客の買い注文と売り注文をぶつけて相殺したり、何もせずに飲んだりすることもあると言われています。
そのため、私たち顧客の注文をカバーするしないはFX会社の自由になっていてインターバンクに流れていかない場合も多くあり、インターバンクと取引している形には見えても、実際にはFX会社のディーラーと勝負していることになります。
また、私たちの注文がどのような形でカバーされているか、私たち一般顧客が知ることは不可能です。
これを考えると、私たち顧客の注文を受ける受けないもFX会社のディーラーのさじ加減次第とも言え、約定拒否やストップ狩りの噂も出てきてしまうことになります。
逆にディーラーの腕が良ければ会社で大きく利益を出していくことが可能になるために、スプレッドの縮小や高い約定力やキャンペーンなどで顧客にサービスしていくことができます。
NDD(No Dealing Desk)とは?
NDD(ノー・ディーリング・デスク)方式とは、顧客の注文をFX会社のディーラを介さずにそのままインターバンク市場の金融機関に流す形態を指します。
もっと簡単に書くと、私がドル円で10万通貨の買い注文をしたとします。するとFX会社では自動的に10万通貨の買い注文をインターバンクに流します。
FX会社をスルーして注文がインターバンクに流れていくために、インターバンク直結と言われることもあります。
顧客の注文が自動でカバーされるということは、FX会社の裁量の入る余地がないために透明性があると言われています。
また、顧客が勝とうが負けようがFX会社の利益には無関係なのも特徴です。FX会社はスプレッド分が利益になるため、DD方式のFX会社と比べるとスプレッドが大きいというデメリットもあります。
FX業者はノミ行為をしているのか?
店頭取引のFX会社でNDDと明記していない国内のほとんどのFX業者はDDで相対取引ですから、言葉を悪く言えばノミ行為をしている可能性が高いことになります。
法整備が進んでおりネットでも様々な情報が見れる今の時代、悪質なFX業者は淘汰され、優良なFX会社が生き残ってきているのですから、ノミ行為をしているからと言ってすべて悪質業者とは限りません。
逆にサービス面では国内のDD方式のFX会社の方が優れている場合も多いです。
海外業者はNDDだから安心?
確かに海外業者の多くはNDD方式を取っていますが、すべての業者というわけではありませんし、低スプレッドで約定率の高い海外FX業者が突然破綻みたいなこともたまに聞きます。
そもそも一般トレーダーの私たちには、優良な海外FX会社なのか、悪質な海外FX会社なのか見分ける手立てがありません。
ネット上には口コミなどもありますが、アフィリエイターの自作自演だったり、詐欺会社の自作自演での誘い込みだったりもあるために、安易に海外業者を使ってしまうのは危険です。
数年前に私が使っていたNDDのFX会社では、約定拒否が頻繁にあり過ぎて使うのを断念したという経験もあります。
海外業者を使う場合には、しっかり吟味して優良な会社を探すようにしたいものです。
私たちFX参加者は不利なのか?
一番重要な部分が、FX業者がノミ行為をしていることによって、参加者の私たちに不利なことが出てくるのかということです。
私自身、昔は国内FX業者からイカサマ的なことをされたことも多いのですが、ここ数年は安定してトレードできていますし、不便や不満に思ったことも少ないです。
私たちに不利なことがあるのかについて考えてみたいと思います。
約定拒否
私はいつも50万通貨~100万通貨でトレードしているのですが、150万通貨や200万通貨にロット数を上げた途端に約定拒否が頻繁に起こったことがありました。
私の取引手法は秒単位のスキャルピングではなく、最低でも1分から長い時で20分程度はポジションを持つ手法なので、FX会社には嫌われにくいことから、タイミングが悪く約定しなかっただけなのかもしれません。
それでも、約定拒否が頻繁に起こるFX会社は使えません。どこの業者かは書けませんが、会員の方が実際に頻繁に約定拒否にあって使えなかったというFX会社もあります。
あとはロット数が小さい時はサクサク約定するのに、ロット数が大きくなってくると頻繁に約定拒否されるFX会社もありました。
今は一般公開されている約定率が横並びなので参考になりませんが、自分で使ってみて約定率が悪いと感じるのであれば、ほかのFX会社を探した方が良いと思います。
ちなみにスリッページの設定次第では、値が少しでも動いている時に約定しないことは普通にあり得ることですから注意してください。
スリッページ拡大
俗にいう滑るというものです。通常は顧客が有利な指値はスリッページが発生しないでピッタリ約定するのに、顧客が不利な逆指値は若干スリッページが発生する場合が多くなっています。これはどこのFX業者でもDD方式ならほぼ一緒だと思われます。
あと、成り行き注文の場合、小さなロット数だとピッタリ約定するのに、大きなロット数になると若干不利な値で約定することがあります。
スリッページは発生しないに越したことはありませんが、ある意味業者の利益になる部分でもあるので、仕方のない部分かもしれません。
それでも、FX業者によっては決済の成り行き注文の時に有利な方向へ滑る会社もありますから、自分で使ってみて滑り具合を比べてみるのも良いと思います。
クルクル詐欺と約定遅延
今はもう聞かなくなりましたが、2009年頃にはクルクル詐欺と呼ばれる現象が頻繁に発生していました。
注文ボタンをクリックするとローディングマークがクルクルと回りだして、約定もしないしキャンセルにもならない状況が続きます。
例えばエントリーの場面でのクルクル詐欺だと、数秒から数十秒もたったあとに3pipsとか5pipsも不利な値で約定します。
決済の場面だと、10pips程度の利益で決済ボタンを押した途端にクルクルとローディングマークが回りだし、数pipsしか利益がなくなってから約定したり、最悪な場合はマイナスに転落してから約定したりしたこともありました。
FX業者のシステムの弱さや通信環境が原因と言われていましたが、ディーラーがわざとやっているなんてウワサもあって、実際のところはどうだったのかわかりません。
私も4年くらい前だったか、某FX会社を使った時に久しぶりにクルクルとやられたことがありましたが、それ以降は一切見たことがありません。
ストップ狩り
今でもストップ狩りがあると思っている人は多いようです。
普通に言われているストップ狩りは、ストップロスが大きく溜まっている場所まで、大きな資金を持った投資家たちが強引に値を進めていくと言われているものです。
しかし、昔はFX業者が意図的にストップ狩りをしているというウワサが絶えませんでした。もちろん、私自身も何度も経験しています。
他のFX業者のチャートにはない数十pipsもある長いヒゲが発生してストップを取られたり、ローソク足が到達していない遠いところにあるストップが取られたりしたものでした。
これは、FX業者内で大きなストップロスが溜まっていたりした時に、意図的にスプレッドを急上昇させたり、長いヒゲを出してストップを取ったと言われているものですが真偽のほどは定かではありません。
顧客の損失は業者の利益ということを考えれば、顧客のストップを取ることができれば、その分がすべてFX業者の利益になるわけですから、あっても不思議ではありませんでした。
さすがに今は法整備も進んでいますし、下手にストップ狩りを意図的にして悪いウワサが広まることを危惧してか、あまり聞かなくなったように思います。
勝っている人を口座凍結?
これは今でもたまに聞きますし実際に口座凍結させられた方も結構いるようです。
特に某FX会社では、超短期の秒スキャルピングをして利益を出すと一発で口座凍結になるなんて話もあります。
顧客の利益はFX会社の損失という観点から考えてみれば、超短期の秒スキャなどを頻繁にされて利益を出されてしまうと、FX会社でもカバー対応できないために凍結して追い出してしまうということなのかもしれません。
口座を凍結されても悪質ではない場合は、新規ポジションが作れないだけで決済も出金もできます。そして口座は解約されてしまうだけです。
それでも、ただ儲かっているというだけで凍結されたなんて話もネットには出回っていますが、これも真偽のほどは定かではありません。
でも、普通のトレード方法であれば、デイトレやスイングで大きく利益を出していたとしても口座凍結させられる心配はないと思います。
取引レートを操作してる?
雇用統計の記事でも書きましたが、重要指標や要人発言、地政学的リスクなどで大きくスプレッドが開く場合にはFX会社によって値が変わることはよくあることで仕方のないことです。
でも、通常時を比べてみればスプレッドの差がある分若干の違いはありますが、ほぼ一緒の値で動いているのがよくわかります。
以下の画像は7社同時にキャプチャーしている画像です。ほとんど同じレートで動いているのがわかります。
以前は他のFX会社にないヒゲが大きく伸びていたりしたのを目撃したこともありますが、今はほとんどなくなりました。変なレートを提示しているFX会社には悪いウワサが広がって誰も使わなくなってしまいますから、今は正当に運営しているFX会社がほとんどだと思います。
FX会社のレート操作に関する詳しい内容は以下で読めます。
ノミ行為をされて有利なこともある!
すべての取引がノミ行為とは限りませんが、FX会社が儲かるということは、損をしている人が多いということでもあります。
でも、よく考えればFX参加者の9割は負けていると言われているわけですから、FX会社は儲かって当たり前なんです。
そのFX会社の儲けを参加者に還元してくれているFX会社は、私的に言えば優良なFX業者だと思っています。
FX会社によっては取引量に応じたキャッシュバックや食品プレゼントのキャンペーンをしていたり、狭い固定スプレッドを提供してくれたりというメリットがあります。
ノミ行為をされていると思えば不正をされているようなイメージを持つ人も多いのですが、顧客のメリットを考えてくれているFX会社も多いので、私たちにとってはデメリットよりもメリットの方が大きいと考えて良いと思います。
私がFX会社のディーラーなら!
もし、私がFX会社のディーラーという立場なら、最初にFXがうまい人、下手な人、勝つ人、負ける人を選別していきます。
新規顧客は、勝つ人なのか負ける人なのかわからないので、最初のうちのトレードはそのままインターバンクに流すか、ほかの新規顧客のポジションと相殺してしまいます。
そして、勝つ人負ける人の選別ができてきたら
負ける人の注文はすべて飲んでしまいます。その人が負けた分は全部会社の利益になります。
逆に勝つ人の注文を飲んでしまったら、その分が会社の損失になってしまうわけですから、勝つ人から注文が入ったら、2倍のポジションをインターバンクに流します。すると、その勝つ人と同じ金額を会社も儲けることができます。
こういった判断をディーラーの私がする前に決済してしまう人、秒スキャルピングをする人は口座凍結などの手段で追い出します。
こうすれば、FX会社はどんどん儲かっていくことになるので、顧客サービスを更に充実させることができてくることになります。
これは私の考えですから、実際にできるかできないかはわかりませんが、既にやっているディーラーも多いのかもしれません。
FX業者のノミ行為とは?顧客の利益はFX会社の損失?まとめ
FX業者がノミ行為をしていて不利だという噂があります。でも、FX業者がなくなってしまえばトレードできないわけですから、トレードさせてもらっているという感謝の気持ちも大事だと思います。
また、FX業者がノミ行為をしていたとしても、相対取引のFX会社ではそれが普通の行為であり、それを含めたとしても特別私たちが不利になるということもありません。
逆に店頭取引のFX会社の方が顧客獲得競争の中で様々なサービスを打ち出したり、約定率の向上やスプレッドの縮小などメリットの方が多いと思います。
ただ稀にFX業者によっては不利なことがある場合もありますから、優良なFX業者、自分と相性の良いFX業者を使うことも大切です。