FXは損小利大の手法でないと勝てないなんて言われることが多いのですが本当でしょうか?
誰でも平均損切り幅よりも平均利益幅の方が大きい方が良いのは確かだと思いますが、損小利大だけで勝てるわけではありません。
いくら損小利大だったとしても適切な勝率がなければトータルで利益は残らないことになるためです。
それでは損小利大の手法で勝つためにはどうしたらいいのか、どのレベルの勝率が必要なのかなどを考えていきたいと思います。
目次
損小利大の考え方とは?
FX歴がある程度ある人なら誰でも損小利大が理想的という話は聞いたことがあると思います。損失を小さく抑えて利益を大きく伸ばすことでトータル利益は伸びることになるために勝てるということです。
例えば勝率が50%で損切りが10pips、利確が20pipsと仮定したトレード手法を考えて見れば一目瞭然です。
・勝率50%であれば10回トレードしたとして5勝5敗。
・損切り10pips×負け5回=マイナス50pips
・利確20pips×勝ち5回=プラス100pips
差し引きで50pipsのプラスになります。
これが損切り10pipsで利確30pipsだった場合
・勝率50%であれば10回トレードしたとして5勝5敗。
・損切り10pips×負け5回=マイナス50pips
・利確30pips×勝ち5回=プラス150pips
差し引きで100pipsのプラスになります。
これが損小利大の考え方です。
同じ勝率だった場合、損小利大になればなるほど残る利益は大きくなっていくのです。もちろん、勝率が上がればそれに比例して残る利益も大きくなることになります。
損小利大のもう一つのメリットは、損切りが小さければメンタルにかかる負荷も小さいし、一度に大負けしてしまう危険性も低くなるということです。
もちろん、勝率が低ければ連敗してしまうことになりますが、平均利益額よりも小さな損切りは確実にトータルでの勝ちにつながってきます。
損小利大と言えば小さな損切りが苦手という人も多いのですが、慣れると誰でも簡単にできます。
これはコツコツドカンで大きな損切りを何度も体験してきた私でもできるようになったし、小さな損切りができるようになった人をたくさん見てきたから言えることです。
ただ、利益を伸ばせと言われても、実はそう簡単には伸ばせません。
これも私が経験してきているから言えることで、損切りよりも利益を伸ばす方が圧倒的に難しいのです。
ただ、FXをしている人の中には利益を伸ばすのが得意な人もいるようです。
FX参加者で言えば大多数の人は利益を伸ばすのが下手で、小さく損切りするのも下手。だから安定して勝てずに負けている人が多いことにつながっているのだと思います。
小さな損切りと利益を伸ばすこと、両方をうまくできれば安定して勝てるようになるのは当たり前です。
リスクリワードレシオとは?
リスクリワードレシオとは投資全般に使われている平均損失と平均利益の比率のことです。
平均獲得pips÷平均損失pips=リスクリワードレシオ
FXの場合だと平均損失と平均利益<1:3>が黄金比率とか言われていて、損切りの3倍の利益が一番バランスが良いと一般的に言われています。
例えば、10pipsの損切りをするのであれば利確は30pipsということです。
ただ、リスクリワードレシオだけでは手法の良し悪しは判断できず、勝率と一緒に考えることが必要になります。
リスクリワードレシオに対する損益分岐点の勝率は以下になります。
- 1:0.5=0.5 勝率約67%
- 1:1.0=1.0 勝率 50%
- 1:1.5=1.5 勝率 40%
- 1:2.0=2.0 勝率約33%
- 1:2.5=2.5 勝率約29%
- 1:3.0=3.0 勝率 25%
<平均損失pips:平均利確pips=リスクリワードレシオ 損益分岐点勝率>
簡単に書けばリスクリワードレシオが1の場合、勝率50%でプラスマイナスゼロ。勝率51%以上であれば収支がプラスになる計算になります。
損小利大は本当に儲かるのか?
損失が小さくて利益が大きいのが損小利大なのですから、普通に考えれば儲かることになりますが、適当にやっていたのでは儲かりません。
損小利大+勝率が大事なのです。
また、損小だからと言って小さく損切りすればいいというものではありません。なんの考えもなく小さく切り過ぎてしまえば損切り貧乏になってしまう可能性もあります。
小さな損切りにもルールが必要なのです。
そして、大きな利益も漠然と伸ばせばいいというものではなく、ルールや戦略に基づいて考える必要があります。
損小利大のトレード手法では、小さな損切りと利益を伸ばすこと、そして勝率がマッチすれば必然的に勝てることになります。
損切り貧乏については以下の記事で詳細に書いています。
損小利大なら勝率10%でも勝てるのだが・・・
損小利大の手法の中には勝率が10%しかなくても勝っている人はいます。
特にブレイクアウト手法などを使っていれば小さな損切りが多く勝率は低いものの、一度のブレイクアウトで大きく利益を伸ばすことができればトータルではプラスにできます。
また一般的にはゴールデンクロスやデッドクロスの手法も勝率が低くなる傾向がありますが、一度に獲得できる利益を大きく伸ばせば損小利大になる傾向が高いです。
しかし、勝率10%ということは平均すれば1回勝つと9回負けます。これは平均的に出現してくれればなんとか耐えられそうな気もしますが、20連敗、30連敗も普通にあり、100連敗の可能性さえあるのが勝率10%です。
いくらトータルでは利益が出ると言われても、さすがに20連敗もしてしまえば資金も減り、メンタル負荷もかなり大きなものになっていると思います。
そのため、損小利大の手法を考える場合は勝率も大事になってきます。勝率20~30%でも損小利大だから大丈夫なんて人もいますが、私的には最低でも4~50%は欲しいと思っています。
勝率60%でも3連敗はざらにあり、4連敗5連敗も稀にあります。
その連敗に耐えることのできるメンタルを保つには、トータルの勝率が大事だと考えるためです。
損小利大なのだから利益を伸ばすことが大事!
私はFXを始めたばかりの頃に損小利大が大事となにかの書籍で読み、様々な実験検証をしてみたことがあります。
- 損切り10pips:利確10pips
- 損切り10pips:利確12pips
- 損切り10pips:利確15pips
- 損切り10pips:利確20pips
- 損切り10pips:利確30pips
エントリールールは一緒で損切りと利確を上記のように固定し、指値逆指値で決済するという実験検証でした。ちなみにリアルトレード30万通貨でした。
損切りを10pipsで逆指値にしたのが失敗だったのかもしれませんが、ストップを取られてから利益方向へ動いていくことが多かったことと、利確10pips指値にしておけば指値が決まってから大きく順行することも多くありました。
また、この時期はまだトレードルールが甘かったこともあって、勝率が安定していなかったので実験検証は全部損失となり大失敗で大きな損失を出してしまいました。
その中でも一番損失が小さかったのが損切り10pips、利確30pipsでした。考えれば当たり前ですが、損小利大が理にかなっていると理解できた検証でした。
ただ、使っているトレード手法の勝率さえ安定しているのであれば、指値逆指値での数値決済は有効だと思います。
できれば、損切りは根拠のある損切りポイントで行い、利確は手動でできるだけ伸ばすようにすれば更に収支は改善できていくはずです。
利益の伸ばし方は以下の記事で詳細に説明しています。
損小利大の反対は損大利小
損大利小、利小損大はコツコツドカンのことです。コツコツと小さな利益を積み重ねて、大きな損失で利益のすべてを失ってしまう最悪のパターンです。
10pipsづつ利益を積み重ねてきたのに、たった1回の300pipsの損切りで積み重ねてきた利益のすべてを失った・・・とか、2pipsとか5pipsで利益を積み重ねていて100pipsの損切りですべてを失った・・・なんてよく聞く話です。
損大利小でも戦略次第では勝てる手法になりえるのですが、普通に考えれば余程高い勝率がないと成り立たない手法ということになります。
また、損大利小になっている方のほとんどはプロスペクト理論に負けている場合が多いので、そこから抜け出さない限りいつまでたっても勝てないということになってしまいます。
コツコツドカンの詳細は以下の記事でご覧いただけます。
利小損大(コツコツドカン)でも勝てる手法もある!
利確12pips、損切り100pipsの利小損大でも勝率が9割を超えれば勝てます。
利確12pips×9回=108pips
損切り100pips×1回=-100pips
9勝1敗で8pipsの利益です。
これはトレンドが明確な相場展開での順張り押し目買いや戻り売りの手法だったりで実践している人はいるようです。
ただ、勝率が少し変わってしまうだけでトータルでマイナスになってしまうことと、勝率が安定していたとしても2連敗くらいはありますから、損切りの連続でメンタル的に耐えられなくなりそうなことなどを考えると私には実現するのは難しそうです。
私も昔、NY時間だけ通用する損大利小の必勝法を考えて実行したことがありましたが、多少利益は残ったもののメンタル的に耐えられなくてやめてしまった経験があります。
損小利小でも勝てる!
スキャルピングをやっている人のほとんどは損小利小ではないでしょうか?
数pipsの利確を繰り返しながら損切りも数pipsと小さくすることで勝率を上げてトータル収支がプラスになります。
スキャルピングでプラス収支になっている人も多いのですから、これを考えれば損小利小でも勝てるトレード手法は存在することになります。
私の知り合いにもレンジ推移だけを狙って逆張りしているトレーダーがいます。その方の手法は値動きが小さい時間帯だけを狙ってレンジ上限で売って数pipsで利確し、レンジ下限で買って数pipsで利確するだけの簡単なトレード手法です。
レンジ中間付近にいる時はチャンス待ちに徹しています。
損切りがレンジブレイクなので完全な損小利小にはならないのですが、勝率の高さでトータルプラスになっているようです。
これは損切りと利確を小さくし勝率とのバランス次第で勝っているトレード手法ということになります。
私も損小利小で勝っている!
私はFX歴15年目になりますが、今でも利益を伸ばすのが下手というか苦手です。一度乗った利益を削られるのが嫌なんですね。これは私個人のメンタル的なものなのですが、同じように思っている方は結構多いようです。
利益を伸ばせないということは必然的に薄利決済、チキン利食いになりがちなのですが、いつでも薄利決済を繰り返していたらトータルでは絶対に勝てません。
※薄利決済のルールがあれば別です。
そのため、自分のトレードルールに合った最低利確目標を持つことが大事です。
その目標までは利確を我慢することでトータル利益が伸びるという数値をデータから決めて、その数値までは利確を我慢することでトータル利益が安定してきます。
そして、最低利確目標まで利益が伸びない時は臨機応変に考えていくことで、メンタル的なストレスも減ることになります。
また、利益を伸ばせる得意パターンが出現した時にだけ利益を伸ばす判断をすることができればトータル利益も大きくしていくことができるようになります。
だから、トレードルールに見合った利益確定を考えていけば、FXで勝つことに損小利大は絶対条件ではないということになります。
無理に損小利大を目指さなくても良い?
損切り10pips、利確50pips・・・理想の形です。これである程度の勝率があれば大きな利益を手に入れることができるでしょう。
でも実際にこの条件では勝率を高めていくことが不可能なために、連続損切りが発生しやすくなりストレスのたまるトレード手法になってしまいます。
そのストレスを我慢できる人が勝ち組になれるという意見もありそうですが、私的に考えれば勝率が低く損切りが多発する手法では耐えられないと思います。
そのため、デイトレなどでは損切り30pips、利確50pips程度にし、勝率を上げていくことで優位性のある手法を組み立てている方も多いようです。
逆に損切り30pips、利確30pipsで勝率60%以上を目指す方が、メンタル負荷は軽くなるので実現できる可能性も高まると思います。
損小利大は実現できれば魅力的ですが、勝率との兼ね合いを考えて無理に目指すものではないというのが私の考えです。
メンタルに関する考え方は以下の記事で読めます。
一番理想の損小利大の形とは?
損小ということは損切りを早くするということです。そのため、損小を実現していくためには確実に小さく損切りできるメンタルが大切になります。
また、損切りを小さく的確にできているのであれば、余程のチキン利食いでない限り大損している人は少ないはずです。
これは、FXで大きく負けている人の多くは損切り幅が大きいということからも言えることです。
そして、損益比に応じた勝率が実現できる手法であればトータルで利益が出ることになります。
あくまでも私個人の考え方ですが
リスクリワードレシオが 7:11=1.57
このレベルがしっくりくるリスクリワード比だと思っています。これに50%以上の勝率が絡んでトータルでの利益が安定してくるのがベストです。
これは大きなリスクリワードレシオだと勝率を上げていくのが難しくなるためです。自分の手法を考えていく場合には、こういったことまで考えてトレードルールを決めることで長い目で見たトータル収支の安定につながってくるはずです。
FXは損小利大の手法で勝つ!大切な勝率の考え方とは?まとめ
FXで損小利大の手法を考える場合は勝率とのバランスが大事になります。
損益比が大きくなればなるほど勝率は下がり、損益比が小さくなればなるほど勝率は上がる傾向にありますが、この損益比と勝率のバランスがトータル収支の安定につながってきます。
いくら損小利大の手法だったとしても勝率が低すぎれば勝てないのがFXだからです。
逆にトレード手法のルールを考える場合、損切り幅、利確幅、勝率を最初に考えてから数多くの検証をしてルールに当てはめていくという考え方もあります。
損小利大の考え方は大切ですが、こだわり過ぎる必要はありません。FXはトータルで利益が残ればいいのです。自分のトレード手法に合った勝率、利確、損切りのバランスを考えていきましょう。