FXは心理戦、よく言われることですがどういったことを指すのでしょうか?
通常、価格が変動する要素としては、ファンダメンタルズだったり各国間の需要と供給の関係だったり実需の動向だったり経済指標だったりと言われています。
しかし、FXに参加する人の心理によっても価格は変動しているのです。
なぜ、どうして価格が変動していくのか、心理的な理由を考えてみたいと思います。そして、心理的要因での価格変動をトレードに活かすことができれば勝率アップ間違いなしです。
目次
FXでの心理戦とは?
FX市場では、機関投資家、ヘッジファンド、個人投資家、プロのディーラーなどなど、巨大な資金をもってトレードしている人たちもいれば、我々個人で少資金でトレードしている人たちもいます。
為替市場には様々な人が参加していて、みんなが儲けたいと思っているわけですから、そこには必ず人間心理が絡んできます。
- ここで買えば儲かるはず
- ここで売れば儲かるはず
- ここまで上がったら売ってみよう
- ここまで下がったら買ってみよう
- ここが限界だから損切りしよう
- ここまで下がればストップがついて下がるはず
- みんな買ってるからそろそろ下がるぞ
- ここをブレイクしたら大きく上がるはず
- このラインは強力なサポートだ
多くの人が様々な思いを描き、それぞれ違った考え方で買ったり売ったりしますし、使用しているトレード手法も違うことでチャートが出来上がってきます。
また、一部の大きな資金を持っている人たちは、大衆心理の裏をかいて利益を上げようとします。
その大きな資金を持っている人たちよりも、さらに巨大な資金を持っている人たちは、その大きな資金を持っている人たちを狩ろうとしていたりします。
全世界の人たちの心理を読むことは不可能なわけですから、私たち一般の個人トレーダーはチャートの動きを見て予測するしかありません。
そして、大きな心理的な値動きも考えることで、勝率が上がったり、利益が伸ばせたり、早めに損切りできたりしてくることもあります。
コンピューターに負けない心理戦
超高速取引やコンピューターが自動で売買を行う「アルゴリズム取引」など、最近はAI(コンピュータ)がトレードすることも多くなってきていますが、根本にいるのは人間で、その人間が手動でトレードしている金額の方が圧倒的に多いのです。
人間がトレードしているということは、そこには心理戦があります。世界中の様々な人たちが、それぞれ違う思惑をもって相場に挑んできます。
コンピューターは人の心は読めないはずですから、統計的なトレードになっている場合が多いようです。それなら、思考できる我々の方にも勝つチャンスはあります。チャートを読んで心理を考えれば結果が見えてくるからです。
心理的にみたレンジのできる理由とは?
少し古いチャートになりますが、人間心理はいつまでたっても変化しない傾向が強いので、いつまででも同じ考え方ができます。
ポンド円の1時間足チャートです。上から時系列で並べています。10月12日から10月27日までの15日間、150pipsほどのレンジ推移が続いています。
上図チャート左端で上にレンジブレイクしたように見えましたが、レンジ上限でもみ合いになり大きく上放れはできませんでした。
後付けで考えてみれば
10月7日に大きく下落して10月11日にも大きく下落した相場が、その大きな下落値幅の半値戻しした後に、その半値戻しの値幅の半値下落して、その半値の範囲内でレンジを構成しただけです(あくまで推測です)。
こういったレンジ推移を心理的な面で考えた場合、最初に大きく下落した安値がしばらくサポートになり、そこから一段安となったことでサポートがレジスタンスに変わったことになります。
大きな陰線をつけた安値だったので、そこから大きく買い進めるのは怖く、そのライン付近にくれば買っていた人は利確してしまう。そして、そのラインでは売る人が多く出てくることで、確固としたレジスタンスラインになってしまったわけです。
これらは後付けでの推測でしかありませんが、このレンジに早く気付くことができていればトレードに活かすことができて、買いでも売りでも大きな利益を得ることができたはずです。
全戻しが起きる心理的な理由とは?
上図はポンド円1時間足のチャートです。徐々に上昇していたポンド円、英指標をきっかけに大きく下落しました。しばらく安値付近でもみ合った後に全戻ししています。
全戻しはどうして起きるのか、この仕組みを理解すると、無駄なエントリーを減らすことにもつながり勝率も上がるはずです。
上図も全戻しの一例です。
- ①で多くの方々が売ってきました。
- 下がってきたところで②の方々も追随して売ります。
- 大きく下落して戻り待ちをしていた方々が、しびれを切らして③で売ります。
- 下がるチャートを見て乗り遅れた方々が我慢できずに④で安値売りします。
- ④の値で①で売った人たちの一部が満足して買い戻します。
- すると⑤まで上がり、焦った④で売った人が損切りします。
- ④の損切りで⑥まで上がったのを見て③の人たちが焦って建値決済します。
- すると⑦まで上がります。
- ⑦まで上がったのを見て②の人たちも建値で逃げます。
- すると⑧まで値が上がり全戻し完成です。
上図の例だと8ヵ所で多くの方々がトレードしていますが、ザックリ考えると儲かったのは①で売った人たちだけ、損したのは④で売った人たちだけです。
実際には、戻り売りだったり押し目買いだったり、逆張りの買いだったり売りだったり、小さな利益確定や損切りも入り混じることになるので、こんなに簡単なわけではありません。
あくまで考え方の一例です。
でも、たった一つのチャートを見るだけでも、これだけのことが考えられるわけですから、FXとは奥の深い投資だと思いますし、こういった参加者の動向を心理的に考えると、次にどう動くのか予測できる場合も出てきます。
よく使われる水平線での攻防も心理戦の一つと言われています。
半値戻しが起きる心理的な理由とは?
上図はポンド円日足での半値戻しの例です。大きく下落した後に半値戻しになり、その後再度下落したものの安値を更新できずにレンジ推移に移行しています。
上図は大きく上昇してきたポンド円が半値戻しした例です。半値戻ししたポイントが絶好の押し目となって再度トレンド方向へ進んでいくのはよくあることです。
半値戻しは全戻しと比べてトレンドが強い時によくあるチャート形です。半値戻しを最初から期待していたり、考えている人たちが押し目として再度買い始めるためにトレンド方向へ再度進んでいくことになります。
心理的に長期間意識されるラインも存在
上記画像はポンド円の日足です。2016年3月から6月初旬まで3ヶ月以上もの間、162円台半ばが意識されて上値を抑えられていました。
この価格に何があったのかはわかりませんが、実はその前の2016年1月、2014年2月にも意識されていて止まっているラインです。
このように、長期間意識されるラインは確実に存在しています。ラインの存在がわかっている人たちは、そのラインをサポートとして考えたりレジスタンスとして考えたりしてトレードに活かしてきます。
こういった価格を見つけたらチャートに水平線を引いて、常に意識するようにすれば無駄なトレードやリスクの高いトレードを減らすことができるようになってきます。
よくあるチャートパターンの心理状況
こんな形のチャートをよく目にすると思います。綺麗に上昇していたチャートがいったん止まって値を下げてから、再度トレンド方向へ進んでいくパターンです。
- ①から上昇し、買いたい人が多くて勢い良く上昇してきた
- ②で利確する人たちがいて③まで下落
- ③では押し目買いしたい人がいて④まで上昇
- ④では最高値付近ということで利食いが入って②を超えられずに⑤まで下落
- ⑤では再度押し目買いに支えられてもみ合いながら⑥まで上昇
- 再度最高値での利食いが入って②④を超えられずに⑦まで下落
- 安値で止まると考えた人たちが買ったが、①から買っていた人たちの一部が利食い、③で買った人たちの損切りの売りも入って⑤のラインを割って一段安
- トリプルトップの目標値付近の⑧では、押し目買い待ちしていた人たちの買いと高値売りした人たちの利確が入って再上昇
- ②④⑥のラインで再度売られたが買いの勢いの方が強く⑨でブレイクして一段高になった
あくまで私の予想ですが、こんな感じの心理戦が繰り広げられていたと思います。細かく考えればもっとたくさんの思考が入ると思いますが、大きな目線で考えるだけでも上昇下降を予測することができてきます。
不安感が大きいと売られる?
値が動く理由には様々なものがありますが、大きく下落する理由の一つがリスク回避(リスクオフ)です。
FXの参加者は、できるだけリスクを避けようとする傾向があり、不安なことがあれば買いで持っているポジションを閉じてしまいます。
買い持ちを売るわけですからチャートは下落します。下落してくれば上で買いポジション持っている人の損切りでの売り、更には売り仕掛けも加わって大きく下落していくことになるわけです。
そして売りが加速してくる理由の一つに、下落途中に勝手な思惑で上がるだろうと予想して買ってくる人たちの動向です。
そろそろ上がるだろうと買ってはみたものの不安になって損切りして売ってしまう。これが繰り返されることで売りの勢いが強くなって大きく値は下がっていくのです。
ほかにも、大きな指標やイベントの前などに不安感が大きくなって、買いポジションは閉じておこうと売られる場合もあります。不安感で値が下がる場合は、新たな売りポジションの増加よりも利確での売りだったり、損切りでの売りだったりの方が強い場合が多いようです。
心理的な要素は短期トレードには関係ない?
私が使っているメインの手法は1分足のトレンドフォローで「頭と尻尾はくれてやれ」的な戦略なので、日足や4時間足はほとんど気にしません。日足が上昇トレンドだから売れないということがないためです。
そのため、日足や4時間足はトレード前に方向を確認するために開きますが、チェックが終わったら再度開くことはありません。ザックリとトレンドなのかレンジなのかが分かっているだけでいいからです。
また、心理戦的に1分足でも様々な戦いは繰り広げられていると思いますが、それをリアルタイムで的確に判断していくことは忙しすぎて現実的に不可能なので気にしないようにしています。
1分足で心理的要因を考えているとどんどんチャートが進んでいってしまっているからです。
そのため、1分足でトレードしていく場合、5分足と15分足の心理的な節目、心理的要因でできたと考えられる水平線、あとは大きい時間足でも強い水平線に気をつける程度でいいと思います。
心理戦を考えるとFXは楽しくなる!
いつもは機械的で単調なトレードをしている私ですが、ポジションを持っていない時にはチャートを見ながら様々なことを考えています。
ここは昨日長くもみ合ったところで買いも溜まっているはずで「やれやれの売り」もたくさん出てきそうだから一度は止まる確率が高そう。エントリーサインが発生しても様子見が無難かな!
ここは昨日の下落でストップを取り切っているはずだから、さらに大幅下落は考えにくいから安値売りは避けたい場面だ!
ここをブレイクしたら次の節目は遠いから、きれいなトレンドができる確率は高そうだし大きく上げそうだから利益は伸ばせそう。
ここにはストップがたくさんたまっているはずだから、割ったら大きく下落しそうだ。戻り売で大きく取れる大チャンスかも!
こんな勝手なことを考えているだけでもFXは楽しいものです。
もちろん、私の勝手な推測ですから、この推測を元に新たにポジションを作ることはありませんが、利確の目標にしたり損切りの目安にしたり、エントリーサインを見送って様子見したりと心理的に活用することはあります。
考えすぎれば逆にマイナスになる!
チャートの値動きを心理的に考えるというのは、あくまでもサブ的な意味合いです。トレードはトレードルールに従って行うべきであり、憶測や予想でトレードしてはいけません。
深読みし過ぎるとどうなるか?
「ここまで下げたらそろそろ上がるはず」
ただの値ごろ感になってしまい、トレード的には大きなマイナス要素になってしまいます。境界線は難しいところですが、心理的な節目などは、あくまでも参考値として捉えてトレードに活かすことが大事になります。
FXは心理戦?チャートの値動きを心理的に考える!まとめ
FXは参加者同士が駆け引きをして競い合う心理戦です。多くの人間は同じようなことを考えるものですから、心理的な部分からチャートの値動きを考えることもできてきます。
逆に言えば、その考えを読まれて仕掛け的な動きでストップを狙ってくる大きな資金を持った人たちもいるということです。
どちらにしてもトレードルールに従いながらトレードをしていって、心理的な節目や値動きを考えるようにしていけば無駄なトレードを排除でき、利益も大きく伸ばせる可能性もあります。
「今の値動きの理由はなんだろう」
正解はわかる時とわからない時がありますが、こんな心理的目線でチャートを見る癖をつけていけば、確実にトレード力向上につながってくるはずです。
そして、その経験の積み重ねを独自の得意チャートパターンにしていくことができると収支は大きくアップし、安定して勝ち続けていくことにもつながってくるはずです。