FXをしている人なら「相場環境認識」という言葉を聞いたことがあると思います。また、相場環境認識ができてくると勝率アップ、利益率アップにつながってくるために大事だと感じている人も多いと思います。
でも、FXでの相場環境認識のやり方が分からず、相場環境認識とは何なのかも理解していない人も多いようです。
私の考え方ですが、相場環境認識とは何なのか?相場環境認識のやり方、そして、FXの勝ちにどう繋げていけばいいのかについて書いてみたいと思います。
使っているチャートは少し古いものになりますが、普遍の原理原則でもあるのでじっくり読んでみてください。
目次
FXにおける相場環境認識とは?
FXにおける相場環境認識とは、一般的に言えば、今現在の相場の状況がどうなっているのかを大きな目線で確認し認識することです。
その中でも一番大切なことはマルチタイムフレーム分析によって、あなたがトレードに使っているチャートよりも大きい時間軸のチャートが、今どんな状況にあるのかを分析することです。
例えば、
あなたが5分足メインでトレードしているのなら、1時間足のトレンドは上昇トレンドなのか下降トレンドなのか、それともレンジ推移なのか?
4時間足はどうなのか、日足はどうなのかをチェックします。
あなたが1時間足メインでトレードしているのなら、4時間足のトレンドは上昇トレンドなのか下降トレンドなのか、それともレンジ推移なのか?
日足はどうなのか、週足ではどうなっているのかをチェックします。
要は、あなたがトレードしているチャートよりも大きい時間軸のチャートの状況が、今どうなっているのかを認識することで、あなたのトレードの方向性を決めるということが一般に言われている相場環境認識です。
大きな時間軸のチャートで相場環境認識ができると以下のようなことが分かってきます。
- レンジの幅
- トレンドの方向性
- ボラティリティ
- サポートライン
- レジスタンスライン
トレンドフォロー系のトレード手法でトレードしている方であれば、今がレンジの最中ということが分かればエントリーサインが出たとしても様子見することができます。
そして、トレンドが発生してからエントリーしていったり、トレンドが出ている通貨ペアを選択することで勝率をアップさせることができるようになります。
また、強いトレンドが発生していることが分かれば、利益を最大限に伸ばしていく判断もできることになります。
レンジでの逆張り手法を使っている方であれば、大きな時間軸でレンジになっている通貨ペアを選択することで勝率をアップできます。
私が考えるには、マルチタイムフレーム分析以外の要素でも大切な相場環境認識がありますので後述します。
相場環境認識において長期足が大事な理由とは?
↑↑ 綺麗な下降トレンドが出ています ↑↑
↑↑ 綺麗な上昇トレンドになっています ↑↑
実は上記2つのチャートは、時間軸が違うだけで同じ時間帯のチャートなのです。
大きいローソク足のチャートで見れば上昇トレンドなんですが、部分的に小さいローソク足チャートで見れば綺麗な下降トレンドなんですね。ちょうど黄色丸で囲った部分の後半になります。
これはちょっと極端な例になっていますが、長期足では上昇トレンド中で、短期足で押し目を作るために下降してきています。そして下降が止まれば長期足方向に切り返して上昇していく可能性が高いことになります。
エントリーの方向、利益を伸ばすのか決済するのか、どこで損切りするのか、どこまで我慢するのかなど、メインに見ているチャートよりも大きい時間軸のチャートを見ることで、判断の幅が広がることにつながります。
チャートで簡単にトレンドを判断するには?
トレンド判断には様々な方法があると思いますが、私が見ているのは100EMAです。この100EMAの傾き、現在の値の位置を見て総合的にトレンド判断しています(チャート画像内白線)。
例えば以下は2016年08月25日(木)19時のポンド円のチャートです。
↓↓ 5分足で見ると下値は水平線で止められたけど、ここが戻りで下げる可能性もありそう
↓↓ 15分足で見ればダブルトップみたいなチャート形で、ネックライン割れからの反発期待か?
↓↓ 1時間足で見ると押し目になって上昇するかも!
↓↓ 4時間足では下降トレンドから上昇しそうに見える
↓↓ 日足ではまだまだ下降トレンドが強いけど、同じところで2回止まっているから安値売りには注意かも!
総合的に判断するとしたら、15分足では上昇トレンドから上値が重くなってきているが、1時間足では上昇トレンドになっている。4時間足は下降トレンドから反発してきている。日足で見れば下降トレンドが続いているが、もしかしたらトレンド転換の可能性もある。こんな感じになります。
5分足でトレードしているのなら、トレンドがはっきりするまで様子見するか、軽く売ってみて下がらないようなら小さく損切りしよう・・・みたいな判断が相場環境認識でできることになります。
長期足を見る場合はレジスタンス、サポートも見ること!
例えば5分足を見てトレードしている場合を考えると、モニターいっぱいにチャートを表示させていたとしてもクロス円で言えば1円程度の値幅を見ていると思います。
そして、以下のように強い上昇トレンドに見えるチャート形であれば、順張りなら買いでエントリーしていて、どこまで追いかけるか、どこまで利益を伸ばすかを考えているはずです。
↓↓ そして、あっという間に下落されてしまい建値まで戻ってしまいました ↓↓
実は長期足で見れば大きなレンジ推移になっていて、同じ値で何回も跳ね返されている強いレジスタンスがあったんですね(下の画像の黄色ライン)。このレジスタンスラインが事前にわかっていれば、手前まで来たときに十分な利益で利確もできたはずです。
これも極端な例ですが、5分足メインでトレードしているなら、15分足や1時間足も見てレジスタンスラインやサポートラインにも注目するというのが相場環境認識の一つになります。
もちろん、もっと大きな目線でのサポートライン、レジスタンスラインをチェックして、大きなレンジになっていないのか、レンジブレイクしていないかなどを見ることもトレード手法によっては重要になってきます。
見えているチャート以外で考える相場環境認識とは?
相場環境認識にはトレードしているチャートよりも大きな時間軸のチャートを見る以外に広い意味もあると考えています。例えば時間帯での相場判断だったり、今現在の国ごとの強弱だったり、国の考え方だったりです。
時間帯で見る相場環境認識とは?
私の場合、東京と欧州がトレードのメイン時間なのですが、朝にダウと日経先物と米金利と原油チャートもチェックします。
ダウと日経先物がプラスで引けていたり、マイナスで終わっていたとしても引けにかけて上昇している場合、東京オープンに向けてドルが上昇する傾向にあります。これを考えれば、朝は必然的に買い目線となり、買いのチャンスを待つことになります。
次に欧州勢参入時の15時、16時付近のポンドの場合ですが、欧州勢は東京の逆をいく場合が多くあります。これを考えれば、東京で大きな理由もなく値を上げてきている場合は高値買いに注意。逆に東京で下げてきている場合は安値売りに注意と考えることができます。
また、9時や15時や16時などの市場オープンの00時には、急に逆に大きく動く日も多くあります。これを知っているだけでも00時マタギのポジションを持つ場合には注意できますし、利確ポイントを検討できることにもなります。
他にもある相場環境認識とは?
例えば、少し前になりますが2016年6月24日の英国民投票以降のポンド円。
EU離脱が決まって1日で27円の大暴落後ですが、どう考えてもポンドは弱いはずです。これを考えれば、しばらくの間は戻りを売られる可能性が高いと判断でき、容易に大きな利益を出すことができました。
国民性を考えて見れば、
日本人は買いが好きで、なかなか損切りせずに耐える傾向が強い。これを考えれば東京時間でドル円が安い時は買われる傾向が強い。大きな節目などでストップが貯まってくれば割った時には大きく動く可能性が高いと考えることができます。
欧州トレーダーはポンドを買いたい傾向が強く決済も早い。これを考えれば欧州勢参入後はポンドが買われやすいが、買ったポジションは決済するのも早いので、大きな理由がなければ長時間トレンドは続きにくいと考えることもできます。
ファンダメンタルズも相場環境認識のひとつ?
例えば
米国が利上げをしたがっている
⇒ ドルが買われやすい
日本は円を買わせたくない
100円は死守するかも・・・
⇒ 100円割れでは介入があるかも
北朝鮮がミサイル発射準備をしている
⇒ リスクオフで円とドルが買われるかも
極端な例ですが、こういった状況を認識していることも相場環境認識の一環と言えると思います。FX会社のニュースやロイターなどを見る習慣をつけていれば、直接トレードには影響を与えないかもしれませんがリスク回避には役立つと思います。
相場環境認識を無視する考え方もある!
相場環境認識ができると勝率アップに貢献してくれるのは間違いありませんが、あまりにも頼り過ぎたり、考えすぎたりしてしまうと失敗してしまうことも多々あります。
例えば5分足でトレードしている場合
売りサインが発生してるけど、1時間足も4時間足も上昇トレンドだから売りエントリーしないで様子見しよう。
あれ、どんどん値を下げている
よくあるパターンです。
トレンド転換で5分足から新規トレンドが発生していく時には利益を出せないことになります。
例えば15分足でトレードしている場合
4時間足で見ると大きめのレンジ推移になっているから買いも売りも様子見でエントリーしないことにしよう。
あれ、さっきエントリーしてたら50pipsも取れてた!
これもよくあるパターンです。
エントリーを見送ったポイントから順行し、レンジをブレイクして大きく伸びていくこともよくありますから、大きな利益を取り逃すことになります。
例えば4時間足を見るとドル買いトレンドが強い場合
5分足ではポンドドルに買いサインが出てるけど、ドル買いが強そうだから買うのはやめよう。
あれ、どんどん上昇している!
ドル買いやドル売りでの判断はクロス円でレンジになりやすいこともあり、通常時には大切な判断材料でもありますが、ドルストレートの通貨ペア単体で見た場合には結構頻繁に切り替わることが多いものです。
5分足でトレードしている場合に4時間足や日足でドル主導を見ても、よほど強いドル買い、ドル売りでない限り、失敗することも多くなります。
これは、時間帯や買われ過ぎ売られ過ぎでもドル買いとドル売りが簡単に切り替わってしまうためです。
また、ドルストレートで見ればドル以外の要因でも値動きが発生するために、相場環境認識をする場合には気をつけなければならないポイントになります。
実は、私は長期足はそんなに気にしていない!
私のメイントレード手法では1分足がメインで、エントリーポイントも決済ポイントも1分足で完結するので長期足は常時チェックしていません。
日足や4時間足などはトレードスタート前に簡単にチェックするだけです。また、5分足は常時チェックしていますが5分足のトレンドが逆だからと言ってエントリーしないという選択肢もありません。
ただ、5分足と1分足のトレンドが同方向なら、自信を持ってエントリーしたり、利益を伸ばす判断ができるくらいが上位足を見る理由です。
これは、1分足をメインにトレードする場合、5分足のトレンドに引っ張られる可能性もありますが、1分足から逆のトレンドが発生して5分足のトレンドが変わってくる可能性も多々あるためです。
このトレンドの切り替わりをうまく捕まえることができると、1回で大きな利益が取れたり、連勝連勝で利益を大きく積み重ねたりできます。
適当にトレンドが変わりそうみたいな理由では失敗することの方が多くなりますが、根拠がある場合には積極的に狙っていきたいのがトレンドの切り替わりです。
FXの相場環境認識って何?知れば確実に勝率はアップする? まとめ
FXにおける相場環境認識とは、勝つ確率を上げるために、大きな目線で今の相場の状況を確認、判断する作業ということになります。
もちろん、今まで見てきた相場環境認識はとても大切ですし、知っていることでトレードに役立つことも多いにあります。しかし、相場は生き物と言われるように、いつ、何が原因で大きく逆に変動するかわかりません。
そのため、自分の相場環境認識で上昇トレンドと判断したとしても、「絶対に上がっていくはず」という過信は禁物になります。
それは、トレンドは小さな足から派生していくからです。
「上位足は上昇トレンドなんだから損切りしないでどこまでも我慢する」
こういった考え方はFXにおいて最悪です。もちろん、最初からどこまで我慢するかを決めている場合は問題ありませんが。
日足が強い上昇トレンドだったとしても、必ずいつかは終わってレンジになるか下降トレンドに変わります。だからトレンドに逆らわないことがとても大切になりますし、もし間違ったと判断できるならば、早めに認識を変えていく必要も出てきます。
FXでは大切な相場環境認識ですが、自分が絶対正しいと過信せずにチャートの値動きに素直にトレードすることが一番大事なことなのです。