FXではトレードする通貨数(ロット数)を自分で決めることができます。もちろん、レバレッジの関係で資金量に応じた限界はありますが、自分で好きな通貨数でトレードできる点がFXの大きなメリットにもなっています。
しかし、自分の器、自分自身に合った通貨数でトレードしていないと様々なデメリットが発生してしまい精神的なプレッシャーが大きくなって思い通りのトレードができなくなり負けてしまう人も多いようです。
では、適正な通貨数とはどうやって決めればいいのでしょうか?
トレードに参加する人それぞれ置かれている環境や資金量の違いがありますから、適正な通貨数も変わってきます。
あなたも自分自身に合った、適正な通貨数でトレードすることができているか確認してみましょう。そして、適正な通貨数でない場合は適正な通貨数に変えていきましょう。きっと勝率も利益率も向上させることができるはずです。
目次
FXでの通貨数(ロット数)とは?
FXでトレードする金額の単位のことをロット数と呼びます。同じような単位で通貨数とか枚数と呼ばれることもあります。
このロット数、FX会社によって基本単位が変わることがあります。
世界的には 1ロット=10万通貨
これが世界標準ですが、国内のFX会社だと1ロットを1万通貨としているところが多く、1ロットを1000通貨と定めているFX会社もあります。
そのため、ロット数の単位が違うFX会社でトレードしている人達が会話をした場合に、話がかみ合わなかったなんてこと起こってしまうようです。
<ある日のトレーダー3人の会話>
話がかみ合っていません。
Aさんはヒロセ通商でトレードをしているので10ロット=1万通貨。20pipsのプラスで2,000円の利益の話をしています。
Bさんは海外口座でトレードをしているので10ロット=100万通貨。20pipsのプラスだと1日で20万円の利益をAさんが出したと思って話をしています。
CさんはDMM証券でトレードしているので10ロット=10万通貨。20pipsのプラスだと2万円の利益をAさんが出したと思って話をしています。
このように一口でロット数といっても使っている証券会社によって単位が変わってしまうために少しややこしくなってしまうことがあります。
そのため、このブログ内ではロット数という表現はできるだけ使わずに通貨数という表現をしています。通貨数は共通で同じ単位です。
ドル円、クロス円で考えると
- 1万通貨であれば1pips=100円。100pips動いて1万円の損益
- 10万通貨であれば1pips=1,000円。100pips動いて10万円の損益
- 100万通貨であれば1pips=10,000円。100pips動いて100万円の損益
こういった単位が通貨数での表記になります。
※私がロット数という表現を使う場合は1ロット=10万通貨です。
※ドル円、クロス円以外では計算方法が変わります。
トレードする通貨数(ロット数)は人によって違う
FXを始めたばかりの初心者の方だと、どの程度の通貨数からリアルトレードを始めるのでしょうか?
- 1万通貨?
- 10万通貨?
- それとも1,000通貨?
- まさかの100万通貨?
多くの方と話をしてみると初めてのリアルトレードで一番多いのは1万通貨程度のようでした。
1万通貨でトレードするとクロス円で1pips動いて100円ですから、10pips動いて1,000円、50pips動けば5,000円です。
20pipsの利益を取って2,000円の利益、30pipsの損切りをすれば3,000円の損失になります。
このトレードを開始する通貨数、決め方をしっかり考えている人は稀で、ほとんどの人は適当に決めていることが多いようです。
- FX資金が10万円しかないから1万通貨で始めよう
- 100万円の資金があるから10万通貨でトレードしよう
- 資金は10万円だが大きく儲けたいからハイレバレッジで30万通貨にしよう
- 損すると怖いから1000通貨で練習しよう
こんな感じで自分の感覚だけで決めている人が多いのです。
でも、損切りをして2,000円損してしまうと頭を抱えてガッカリする人もいれば、2,000円程度なら余裕という人もいます。
人によって金銭感覚が違うんですね。
もちろん、資金が多いか少ないかによっても金銭感覚は変わってきます。
これはFXというよりは、実際の生活においても同じことだと思います。
資金が多い人は小さすぎる通貨数でのトレードでは満足できず、資金が少ない人がギリギリ大きな通貨数でトレードすればメンタル負荷が大きくなります。
このことについてじっくり考えてみます。
小さすぎる通貨数(ロット数)でトレードしてしまうと?
ちょっと想像してみてください。
あなたはお金持ちです。
FXに投資できるお金は3億円あります。
とりあえずFX口座に1億円入金しました。
ある程度トレードの勉強もしているのでリアルトレードスタートです。
チャンスが来たのでドル円を0.1ロット(1万通貨)買いました。
2時間ほどチャートを見ていて20pipsほど上昇したので利益確定です。
2,000円の利益を得ました。
果たしてあなたは2,000円の利益で嬉しいでしょうか?
資金効率は良かったと言えるのでしょうか?
FXの投資資金が3億円ある人が2時間のトレードで2,000円の利益では、多分、バカらしくなってしまうのではないでしょうか?
チャンスをものにして利益が出せたことは素晴らしいことですが、総資金に対する利益が小さすぎることで、嬉しいとか満足できる状態ではないと思われます。
多分、次のトレードも同じ0.1ロット(1万通貨)だったら、利益を欲張ってしまうか、損切りも適当になってしまいそうです。
また、手法のルールがしっかり決まっていたとしても破ってしまう可能性が高そうです。
100pipsマイナスになっても1万円、300pips引かされても3万円ですから、総資金の3億円からすれば誤差の範囲だからです。
そして、適当にロット数を上げていって失敗して資金を減らしてしまうパターンが多くなってしまいそうな気がします。
自分の器を超えたロット数でトレードしてしまうと?
ちょっと想像してみてください。
あなたはサラリーマンです。結婚もしていて子供も3人います。お小遣いは毎月3万円と決まっています。
FXの勉強を1年ほどしながら貯金と合わせて100万円のFX資金を貯めました。
海外口座に100万円の資金を入金し、やっとリアルトレード開始です。
トレードの勉強をしながら検証作業もしっかりやっていて、大きな利益を出したいので海外口座を使ってハイレバレッジで20万通貨でのトレードをする予定です。
エントリーチャンスが来たので20万通貨で買いを入れました。
あっという間に逆に動かれてしまい逆指値の20pipsで決済されてしまいました。
数分で4万円ちょっとのマイナスです。
数分で一ヶ月分の小遣い以上のマイナスを食らってしまい頭の中は真っ白です。なんとか取り返そうと思い手法のルールも疎かになり適当なトレードを繰り返します。
結果、熱くなって損切りもルール通りにできず1日で15万円近くの負けでした。
これは何がいけなかったのでしょうか?
あなたの適正な通貨数(ロット数)とは?
上記したお金持ちの例とサラリーマンの例、どちらも適正な通貨数でトレードをしていないために起きてしまった現象です。
資金の多い人が小さすぎる通貨数でトレードすれば
- 小さな利益では満足できずに無謀に利益を伸ばそうとする
- 引かされても痛くないのでほったらかしにしてしまう
- エントリーポイントも適当になってしまう
- 利益は欲しいのでポジポジ病気味になってしまう
- 利益に満足できずにダラダラチャートを見てしまう
こんな感じで良いことはありません。
逆に資金の少ない人がギリギリの大きな通貨数でトレードすれば
- 少しでも利益が出ると利確してしまう
- マイナスになると損切りできずに塩漬けになってしまう
- 怖くてエントリーできなくなってしまう
- 大きな損切りが怖くてすぐに損切りしてしまう
- 少しでも負けると取り返そうとエントリーが適当になってしまう
こんな感じで良いことはありません。
資金に対して大きすぎる通貨数でも小さすぎる通貨数でも思い通りの満足のいくトレードができなくなってしまう可能性が高いのです。
その人のトレードに合った適正な通貨数というものがあるんですね。
エントリーのルールをしっかり守れて、利益も伸ばせて損切りも躊躇なくできる、お金の動きに惑わされずに決済のルールを守ることができる、熱くなったりすることも少ない自分にちょうど良い通貨数が存在するのです。
その適正な通貨数以下だったり、大きく超えてしまったりすると、心理的な面から思い通りのトレードができなくなってしまうのです。
それでは適正なロット数を考えてみましょう。
適正な通貨数(ロット数)の決め方とは?
一般的に言われているのは、総資金の1~2%を損切りするとした場合の通貨数を決めるという方法です。
しかし、これだと、総資金に対しては適正なロット数は割り出せるのですが、あなた個人に合った通貨数にはなりません。
例えば100万円の資金があって損切りを2%の2万円と決めた場合、20pipsが最大損切り値だとすれば10万通貨でのトレードになります。
100万円の資金があったとしても、1回の損切りで2万円を失ってしまう10万通貨のトレード、あなたの器にあっていますか?
余裕だという人もいるでしょう。しかし、1回の損切りが2万円は大きすぎるという人が多いはずです。
FXでは損切りが必ずあります。そして、損切りできない人の多くは負け組です。稀に損切りしない手法なんて言うものもありますが、利益率が極端に低いかメンタル負荷が大きくなってしまうものです。
損切りをFXで利益を得ていくための経費として考えられるようにならなければなりません。
そこで、私が推奨している適正なトレード通貨数の決め方は、損切りを平気でできる金額と最大損切りpips数からの逆算方法です。
考えてみてください。あなたが損切りを平気でできる金額はいくらですか?平気でできる金額とは、熱くならずに冷静に淡々と損切りできる金額です。
- 1000円ですか?
- 5000円ですか?
- 1万円ですか?
- 3万円ですか?
- 5万円ですか?
- 10万円ですか?
- それ以上ですか?
例えばあなたが1万円なら平気で損切りできるけど、3万円だと熱くなってしまうと仮定します。最大損切りpips数は20pipsです。
トレードする通貨数×20pips×100=1万円
1万円÷20pips÷100=5
5万通貨がトレードする適正な通貨数ということになります。これ以上の通貨数でトレードしてしまえば冷静な判断ができなくなってしまう可能性が高いということになります。
計算方法は以下になります。
適正な通貨数=<損切りできる金額>÷<最大損切りpips数>÷100
例えば3,000円なら平気で損切りできるなら
3,000円÷20pips÷100=1.5万通貨
1.5万通貨が適正なトレードができる通貨数ということになります。
ここまでは頭で計算しました。ここからは実際のトレードで実践してみないとどうなるかわかりません。
頭では1万円なら冷静に損切りできそうだと思っても、実際にトレードして損切りしてみないと冷静になっていられるかわからないからです。
そのため、適正な通貨数を割り出すためにはリアルトレードで損切りしてみるしかありません。実際にトレードを繰り返しながら適正なロット数を決めるしかないのです。
そして、FXで一番熱くなって冷静にいられなくなってしまう場面は損切りの後です。自分の適性トレード通貨数を超えたロットでトレードして、自分の器以上の損切りをした時に冷静さを失ってしまいます。
もしくは冷静に損切りできる金額をマイナス金額が上回ってしまったときに損切りができなくなって損切りずらしをしてしまったりします。
こういったことから考えても、冷静に損切りできる金額からの逆算が適正なロット数を割り出すのには適していると思っています。
ロット数は徐々に増やしていくこと!
昨日は5万通貨でトレードして調子よく利益が出たから今日は10万通貨でトレードしよう。
基本的にこの通貨数の増やし方は間違いです。
昨日勝った分の利益を半分のpips数負けで失ってしまうためです。
前日の勝ち分の利益を失ってしまうと多くの方が冷静さを失う傾向が強いです。そして、そのマイナス分を取り返そうとルール違反トレードを繰り返して更にマイナスを増やしてしまう。よくある負けパターンの一つですね。
やはりトレードする通貨数を一気に2倍、3倍に増やすということはメンタル面に大きな影響を与えてしまうのです。
だから、通貨数は徐々に増やして慣れていくことをお勧めします。
最初に適正な通貨数を決めてトレードを繰り返してトータルでのプラス収支を積み重ねていく。そして1ヶ月トータルでの資金増加に合わせて翌月のトレードする通貨数を決める。こんな感じが一番お勧めです。
もし、通貨数を増やしたことによりメンタル負荷が大きくて冷静なトレードができなくなってしまったら、あなたのメンタルが通貨数の増加に適応できていない可能性が高くなります。
その場合は、収支に関わらずに元の通貨数に戻しましょう。もしくは元の通貨数に若干プラスした通貨数でトレードしてみましょう。
そして、徐々に通貨数を上げていくようにしましょう。
複利運用の仕方の記事でもロット数の増やし方を説明しています。
FXとは関係ない、人の器の話!
私が高校生の時、もう40年以上も昔の話ですが、アルバイトしていた喫茶店のマスターがこんなことを話してくれたのを今でも覚えています。
「人にはお金の器がある。今、どれだけの金額を右から左に動かせるかがその人のお金の器なんだよ。俺は今やっと1,000万円の器になった。おまえも大きな器になれよ。」
この当時私は高校生でしたが、このマスターのおかげで財布にはいつも5万円くらいは入っていたので、私のお金の器は5万円でした。
このマスターは私の田舎では先駆者的な人物で、東京で流行っているものをいち早く田舎に持ってきて大きな利益を出されていました。
今でこそ流行りのものは一瞬で全国各地に伝わっていきますが、昔は東京から半年遅れで田舎に来るとか言われていて、東京で流行っているものをできるだけ早く田舎に持ってくると大儲け・・・みたいな時代だったようです。
このマスターの私への影響は大きくて、自営業になって悠々自適な生活を送れるようになるという目標を持ったのも高校生の時でした。
適正なロット数でも適当トレードでは勝てないのは当たり前!
私の初トレードは15年前に30万通貨でした。今考えると当時は総資金量的には十分に適正ロットだったと思いますが、まったく勝てずに大負けの連続でした。
手法に守るべきルールもなく適当なトレードばかりしていたからです。
いくら自分に合った適正な通貨数(ロット数)だったとしても、手法やルールが明確になっていなくては勝てなくて当たり前なのです。
そして、使うFX手法には優位性が必要なのです。
FXで安定して勝ち続けていくためには、優位性のある手法を使い適正なロット数でトレードを継続していくことが最も大切なことなのです。
適正な通貨数を超越する考え方とは?
適正なロット数と優位性のある手法がFXで勝ち続けていくために大切なことと書きましたが、優位性のある手法とルールを守る強靭な精神力がある人であればトレードするロット数は無関係になってしまいます。
無関係は言い過ぎかもしれませんが、資金量ギリギリ最大の通貨数でトレードをして一気に大きく利益を出していくことも可能になります。
通貨数はメンタルに大きな影響を与えてしまうために、一般人であれば適正な通貨数を超えてしまうと冷静でいられなくなります。
しかし、強靭な精神力で何があっても手法のトレードルールを守れるという方であれば最大までトレードする通貨数を上げて良いと思います。
通貨数を大きくすればするほど利益も大きくなります。
ちなみに私は無理でした・・・
ある一定ラインを超えてしまうと自分でも熱くなるのがわかり、失敗したという後悔が大きくなってしまうのです。
そのため、私は自分に合った通貨数を超えてトレードすることはまずありません。逆に大きく狙っていく手法を使う場合は通貨数を下げることはあります。
適正な通貨数を決める場合には自分が使っている手法のルールを完全に守れるのか守れないのかも加味しながら決めていくと良いと思います。
FXの通貨数(ロット数)を適正化すれば安定して勝てるように!まとめ
FXでトレードする通貨数(ロット数)は誰でも自分の資金の範囲で自由に決めることができますが、今の時点でのメンタル的な限界が必ずあります。
その限界通貨数を超えてトレードしてしまえば冷静なトレードができなくなり適当なトレードをしてしまう可能性が高まります。
もちろん、強靭な精神力を持っている方が稀にいますが、私を含めてほとんどの方にはあてはまるのは間違いないと思います。
そのため、トレードする通貨数は自分自身にあった数値を的確に決める必要があります。
ここで書いた通貨数の決め方が絶対に正しいとは限りませんが、ぜひ参考にしていただいて適正な通貨数でトレードしてみてください。
きっとトータルでの収支向上、勝率アップにつながると思います。